※この記事は一般的な条文解説で、宅建等の資格試験の範囲を超えた内容も含みます。当サイトの記事が読みやすいと感じた方は、当サイトと資格試験向け教材の関係をご覧下さい。
第605条の3(合意による不動産の賃貸人たる地位の移転)
【改正法】(新設) (合意による不動産の賃貸人たる地位の移転) 第605条の3 不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。この場合においては、前条第3項及び第4項の規定を準用する。 |
【旧法】 なし |
※上記赤字の部分が改正部分です。
【解説】
本条は、判例で認められていた内容を条文化したものです。
賃貸されている不動産の譲渡がなされた場合に、賃貸人たる地位の移転が問題になりますが、この賃貸人の地位の移転は、譲渡人と譲受人との合意のみで移転し、賃借人の承諾を必要とするのか、という点について、判例は、賃借人の承諾は不要であるとしています。これは、賃貸人が負担する債務は、主に目的物を利用させるという債務であり、属人性が希薄である、つまり、誰が行っても同じになるということを理由にしています。
本条でも、その判例を踏襲し、賃貸人たる地位の移転は、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができるとしています。その場合の、賃貸人の地位の移転については、前条第3項及び第4項の規定が準用されています。