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第500条(弁済による代位の要件)


【改正法】
(タイトル)削除
第500条 第467条の規定は、前条の場合(弁済をするについて正当な利益を有する者が債権者に代位する場合を除く。)について準用する。
【旧法】
(法定代位)
第500条 弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する。

※上記赤字の部分が改正部分です。

【解説】

本条は、もともと法定代位の規定でしたが、その条文のタイトルが削除されています。ということは、法定代位だけの規定ではなく、任意代位も含めた規定になったということです。それは、改正法の「前条の場合」という表現でも分かると思います。

そして、弁済者が任意代位をするには、旧法では「債権者の承諾」と「債権の譲渡の対抗要件」(旧法499条2項による467条の準用)が必要とされていました。しかし、法改正により任意代位の場合であっても、「債権者の承諾」は不要となっています(前条の499条の解説参照)。

そこで、残っている要件である「債権の譲渡の対抗要件」について規定したのが本条です。もともと、この規定は前条第2項に規定されていましたが、本条に移行しています。ただ、この債権譲渡の対抗要件については、「弁済をするについて正当な利益を有する者が債権者に代位する場合」(法定代位)は除かれているので不要です。これは旧法でも同じでした。任意代位では、債権譲渡の対抗要件必要、法定代位では不要、という点に改正はありません。

前条と本条の改正についてまとめると、従来、任意代位で必要とされた「債権者の承諾」というのが、改正により削除されましたが、それ以外は変更なし、ということです。

第500条(弁済による代位の要件)