宅建 過去問解説 平成26年 問47
【じっくり解説】
本問を解くあたって検討する必要のある条文は、不動産の表示に関する公正競争規約施行規則第7条(2)と同規約施行規則別表4第13・別表第5第9です。
まず、公正競争規約施行規則第7条(2)の規定は「建築基準法第42条第2項の規定により道路とみなされる部分(セットバックを要する部分)を含む土地については、その旨を表示し、セットバックを要する部分の面積がおおむね10パーセント以上である場合は、併せてその面積を明示すること。」です。
もう一つの、公正競争規約施行規則別表4第13・別表第5第9の「別表」というのは「物件種別ごとの必要な表示事項」が挙げられているもので、要するに不動産の広告にはコレとアレを表示しろ、というのが列挙されているのですが、別表4第13と別表第5第9は、新築住宅を販売の場合の規定で、いずれにも「土地面積及び私道負担面積」を広告で表示することになっています。
さて、以上の条文を前提にして、本問は混乱する人もいるのではないかと思います。問題文では、「私道負担の面積が全体の5%以下であれば」とありますが、セットバックも私道負担を生ずる場合であれば、規則8条の方が適用され、「セットバックを要する部分の面積がおおむね10パーセント以上である場合は、併せてその面積を明示」しなければいけないが、10パーセント未満であれば、「その旨」の表示は必要ですが、面積の表示は不要なのではないか?と考えた人もいるのではないかと思います。しかし、それは不正解です。
そもそも、セットバックというのは、建築基準法でも勉強しますが、幅員4メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、道路の中心線からの水平距離2メートル後退した線をその道路の境界線とみなすという2項道路の話で、道路の中心線からの2メートル後退して建物を建てたりするのをセットバックといいます。
そして、このような土地についてはセットバックが完了している土地と、セットバックが完了していない土地があります。たとえば、従来から建物が建っていて、現在道路の中心線からの水平距離2メートル後退した線を道路にはみ出して建物が建っているような場合は、建物を再築するときは道路の中心線からの水平距離2メートル後退して再築しなければいけません。このような土地は、セットバックが完了していないので、セットバックが必要な土地ですが、そのときは規則8条の方が適用され、セットバックを要する旨を表示し、セットバックを要する部分の面積がおおむね10パーセント以上である場合は、併せてその面積を明示する必要があります。
次に、すでにセットバックが完了して、道路の中心線からの2メートル後退して建物を建てた場合は、その後退した部分は「私道負担部分」となります。この場合は、別表が適用され、私道負担部分の面積が10%未満であったとしても、私道負担部分の面積の表示が必要となります。
まとめると、
セットバックが未完了=規則第7条(2)→セットバック部分が10%未満なら面積は不要
セットバックが完了=別表→私道負担部分が10%未満でも面積を表示
ということで、本問の正解は「誤り」ということになります。それでは、最後にこの部分に関連する過去問にリンクを張っておきますので、これで今後は、この手の問題については自信をもって答えられるようになると思います。