出世払い債務
【解説】
1.出世払い債務とは
出世払い(しゅっせばらい)債務というのは、ご存知ですよね。
出世した暁には支払うとか、成功した暁には支払う、というような債務のことです。
たとえば、お金を友人に貸すときに、「返済は成功したときでよい」というような場合です。
2.出世払い債務は、「条件」か「期限」か
このような出世払い債務は、「条件」か「期限」か、という形で法律的には問題になります。
「条件」と「期限」の違いの詳細については、サイバー六法の以下のページをご参照下さい。↓
http://www.cyber-den.info/cyber-law/yougo/3.html
「条件」と「期限」の区別は、理論的には明快です。確実に到来するのが「期限」、到来するかどうか不確実なのが「条件」です。
このように「条件」と「期限」は、理論的には明快に区別できますが、実際の事例で区別するのが困難なものとして、この「出世払い債務」がよく上げられます。
「出世した暁には」というのは、条件なのか期限なのかということです。
これは、結論としては実際に契約した当事者が、どういう意味で契約したのかで決まります。
つまり、「出世した暁には返済してもらうが、出世しなかったときには返済しなくてもよい」という意味で契約したのなら、それは「条件」になります。
これに対して、「いずれは支払ってもらうが、出世するまでは支払を猶予してあげよう」という意味で契約したのならば、それは「期限」になります。
「期限」というのは、必ず到来すると書きましたが、それではこの場合の「期限」というのは具体的には何時になるのか?
これは、出世の見込みのある間は弁済を待つが、出世の見込みがなくなれば弁済は待たない、という意味と考えられるので、期限は「出世の時又は出世の見込みがなくなった時」ということになります。これならば確実に到来するので、「期限」といえます。
もっとも、「出世の時」とか「出世の見込みがなくなった時」は何時なのかという判断も難しいですが、これは具体的事例に即してケース・バイ・ケースで判断するということになるのでしょう。
ちなみに、判例はこのような出世払い債務に関しては、さすがに「期限」と解釈していることが多いようです。
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