過去問
【解説】
資格試験において、法律系の資格試験に限らず、「過去問」という言葉がよく使われます。
これは、その資格試験において、過去に実際に出題された本試験の問題のことです。
以前は、この本試験問題は公表されていない試験も多々ありましたが、現在ではほとんどの試験で公表されているので、容易に手に入れることができます。
【参考】宅建の過去問解説のページ
そして、よく「過去問が重要だ!」ということが言われます。
過去問の重要性は、何といっても「その年度の合否は、まさにこの問題で決まった。」ということから考えても分かると思います。その問題がまさに合否の基準になっているわけです。
そして、過去問というのは、「繰り返し」出題されます。もちろん、その年度に初めて出題される問題というのもありますが、多くの問題は過去問の「焼き直し」です。
特に宅建のような歴史のある試験の場合、過去問が非常に多くありますので、この過去問を攻略しておくことが合否の分かれ目になります。
特に法律系の国家試験の場合は、伝統的に過去問の重要性がよく言われています。
なお、書店などに行くと、よく宅建の「問題集」というのが売っています。これは気を付けて下さい。市販されている宅建の「問題集」には、二種類あります。
今説明している「過去問集」と、いわゆる「予想問題集」の類(たぐい)です。この予想問題集は、過去問ではなく、その著者(又は出版社)が作成している創作の問題集です。
みなさんが問題集を購入する場合には、そのどちらかをよく確認して購入して下さい。もちろん、優先すべきは「過去問集」です。
予想問題集の類は、あくまで過去問集をしっかり勉強した上で、「腕試し」として購入するのがベストです。
時間のない方は、「過去問集」だけで十分なくらいです。
過去問集も、大きく分けて二種類あります。それは、本試験で出題されたそのままの形で問題が収録されているものと(ここでは「年度別問題集」と表記します。)、内容別に分類している問題集(ここでは「分野別問題集」と表記します。)です。
年度別問題集は、本試験で出題されたそのままの形で問題が収録されているものは、説明の必要がないでしょう。普通に平成●年の問1~問50までが、そのまま掲載されているだけです。
これに対して分野別問題集というのは、内容ごとに過去問を分類しています。たとえば、過去問の中でも「意思表示」なら「意思表示」の問題を一つにまとめているという形です。
みなさんが勉強されるなら、私としては分野別問題集がお薦めです。この形であれば、テキストの「意思表示」の部分を勉強すれば、すぐに分野別問題集の「意思表示」の問題を解くことによって、テキストで書かれている内容が、具体的にどのような形で過去問に出題されているのかが分かるので、学習の理解度をすぐに確認することができるからです。
年度別問題集は、どの年度にどのような問題が出題されているか分からないので、ある程度のまとまり(たとえば、権利関係)を勉強した後でないと、過去問に移ることができないからです。
さらに、この分野別問題集を進めたような形のもので、「一問一答形式」の過去問集もあります(以下、「一問一答形式」と表記します。)。
この一問一答形式は、なかなか勉強しやすいです。たとえば、本試験でよくあるパターンですが、民法の賃貸借の部分と借地借家法の知識を一つの問題の中で問われているというような場合があります。その場合には、民法の賃貸借と借地借家法の両方を勉強しないと、過去問を解いてもあまり意味がありません。
これ以外にも、宅建業法等では、宅建業法全体を横断的に問うような問題があります。たとえば、一つの問題で、免許と宅地建物取引士と業務の範囲の内容が含まれるような場合です。普通は、別々に勉強するところを一つの問題にしているわけです。
このような問題の場合は、分野別問題集でも、一つの問題を解いていると知らない知識が出てくるので勉強しにくいです。
しかし、一問一答形式の場合は、このようなことはありません。宅建は四肢択一形式ですが、その選択肢の一つ一つを分解して、一問一答形式にしているので、免許の問題は免許の部分に、宅地建物取引士の問題は宅地建物取引士の部分に分類して載せているわけですから、知らない問題が出てくるというような欠点は最小限にとどめられます(たまに、一つの選択肢の中に、別々の場所で勉強する内容を比較するような問題もありますが、それは大変少ない。)
ただ、市販の問題集の中には、このような一問一答形式の問題集は、あまり見かけません。
ちなみに、ちょっと宣伝ですが、宅建通信学院(当学院)宅建通信講座の過去問集は、この一問一答形式を採用しています。
【参考】宅建通信講座の過去問集の詳細
さて、次に書店などで過去問集を選ぶときに迷うのが、過去「何年分」の問題集がいいのか?という点ではないでしょうか。
私は、個人的には「できるだけ多くの年数」を掲載しているもの、単純に言えば問題数が多いものがいいと思っています。おそらく市販の問題集で、収録している過去問が多すぎて、学習に支障をきたすような宅建の過去問集は存在しないと思います。過去問は最初に強調しましたように、「最重要」です。この過去問が多すぎて困るような問題集は市販されていないと思います。したがって、問題数が多ければ多いほどいい、ということになります。
そうはいっても、何らかの「目安」が欲しいと思いますので、その目安をいいますと、最低、直近10年分の過去問が収められているくらいのものは市販されていますので、これがいいと思います。平均的な宅建の受験生(もちろん合格した人)は、直近10年分の過去問集を解いているのではないかと思います。
このように過去問集も特徴がありますので、最初の学習は分野別問題集(あるいは一問一答形式)、最後のまとめに年度別問題集にチャレンジするというのもいい方法ではないかと思います。このような利用をする場合の年度別問題集は、みなさんの時間の余裕に応じて、直近10年分でなくても、7年でも、5年でも、3年でもいいかと思いますので、時間と相談して下さい。