建替え円滑化法9条(設立の認可)

第9条 区分所有法第64条の規定により区分所有法第62条第1項に規定する建替え決議(以下単に「建替え決議」という。)の内容によりマンションの建替えを行う旨の合意をしたものとみなされた者(マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者であってその後に当該建替え決議の内容により当該マンションの建替えを行う旨の同意をしたものを含む。以下「建替え合意者」という。)は、5人以上共同して、定款及び事業計画を定め、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長。以下「都道府県知事等」という。)の認可を受けて組合を設立することができる。

2 前項の規定による認可を申請しようとする建替え合意者は、組合の設立について、建替え合意者の4分の3以上の同意(同意した者の区分所有法第38条の議決権の合計が、建替え合意者の同条の議決権の合計の4分の3以上となる場合に限る。)を得なければならない。

3 区分所有法第70条第4項において準用する区分所有法第64条の規定により一括建替え決議の内容によりマンションの建替えを行う旨の合意をしたものとみなされた者(マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者であってその後に当該一括建替え決議の内容により当該マンションの建替えを行う旨の同意をしたものを含む。以下「一括建替え合意者」という。)は、5人以上共同して、第1項の規定による認可を受けて組合を設立することができる。

4 第1項の規定による認可を申請しようとする一括建替え合意者は、組合の設立について、一括建替え合意者の4分の3以上の同意(同意した者の区分所有法第70条第2項において準用する区分所有法第69条第2項の議決権の合計が、一括建替え合意者の同項の議決権の合計の4分の3以上となる場合に限る。)及び一括建替え決議マンション群(一括建替え決議に係る団地内の二以上のマンションをいう。以下同じ。)を構成する各マンションごとのその区分所有権を有する一括建替え合意者の3分の2以上の同意(各マンションごとに、同意した者の区分所有法第38条の議決権の合計が、それぞれその区分所有権を有する一括建替え合意者の同条の議決権の合計の3分の2以上となる場合に限る。)を得なければならない。

5 前各項の場合において、マンションの一の専有部分が数人の共有に属するときは、その数人を一人の建替え合意者又は一括建替え合意者(以下「建替え合意者等」という。)とみなす。

6 二以上の建替え決議マンション(建替え決議に係るマンションであって一括建替え決議マンション群に属さないものをいう。以下同じ。)若しくは一括建替え決議マンション群又は一以上の建替え決議マンション及び一括建替え決議マンション群に係る建替え合意者等は、5人以上共同して、第1項の規定による認可を申請することができる。この場合において、第2項の規定は建替え決議マンションごとに、第4項の規定は一括建替え決議マンション群ごとに、適用する。

7 第1項の規定による認可の申請は、施行マンションとなるべきマンションの所在地が町村の区域内にあるときは、当該町村の長を経由して行わなければならない。

【解説】

1.組合の設立

本条は建替組合の成立についての条文です。

まず、設立には、建替え合意者が5人以上必要です(第1項)。この建替え合意者は、組合の設立について、建替え合意者及び議決権の4分の3以上の同意を得る必要があります(第2項)。この場合には、マンションの一の専有部分が数人の共有に属するときは、その数人を一人の建替え合意者とみなされます(第5項)。

次に、定款及び事業計画を定める必要があります。

そして、市の区域内にあっては当該市の長、施行マンションとなるべきマンションの所在地が町村の区域内にあるときは当該町村の長を経由して(第7項)都道府県知事に申請し、その認可を受ける必要があります。

2.一括建替え決議の場合の組合の設立(第3項・第4項)

第3~4項は、一括建替え決議の場合に建替組合を設立する場合の規定です。当然、一括建替え決議の要件を満たしているのが前提です(一括建替え決議の要件→区分所有法70条参照)。

組合の設立に5人以上必要である点などは、第1項の場合と同様です。

そして、この設立については、一括建替え合意者及び議決権の4分の3以上の同意だけでなく、各マンションごとの一括建替え合意者及び議決権の3分の2以上の同意を得る必要があります。

もともと一括建替え決議(区分所有法70条)において、団地内建物全体の区分所有者及び議決権の各5分の4以上の集会の決議だけでなく、各団地内建物ごとの区分所有者及び議決権の3分の2以上の賛成が必要とされています。

つまり、一括建替え決議→組合設立の合意という二つの流れで、組合が設立されますが、それぞれの段階で各マンションごとの3/2の同意を要求しているわけです。

一括建替え決議=全体の4/5+各棟の2/3
建替組合の設立=全体の3/4+各棟の2/3

ちょっとくどいような気がしますが、一度組合が設立されてしまうと、あとは団体全体の多数決で意思決定がなされるようになります。しかし、たとえば、組合の設立について、4棟中の3棟が賛成していて、1棟が反対しているような場合に、反対棟を拘束するのは不当です。そこで、このような拘束が及ぶ契機となる組合設立においても各棟の意向を反映させるためにこのようにしたようです。

3.二以上の建替え決議マンション等の場合の組合の設立(第6項)

建替組合は、「二以上の建替え決議マンション若しくは一括建替え決議マンション群又は一以上の建替え決議マンション及び一括建替え決議マンション群」においても設立することができます。

この上記の文章は非常に読みにくいですが(→「又は」「若しくは」「及び」「並びに」参照)、要するに、

・二以上の建替え決議マンション
・一括建替え決議マンション群
・一以上の建替え決議マンション及び一括建替え決議マンション群

の3つの場合に組合が設立できるという意味です。簡単に言えば、建替え決議マンションと一括建替え決議マンション群は、どのような組み合わせでも組合を設立できますということです。

そして、この場合の設立の要件も、今までと同じです。

なお、建替え合意者の同意要件(第2項)は建替え決議マンションごとに、一括建替え合意者の同意要件(第4項)は一括建替え決議マンション群ごとに適用されます(本条後段)。