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第657条(寄託)


【改正法】
(寄託)
第657条 寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
【旧法】
(寄託)
第657条 寄託は、当事者の一方が相手方のために保管をすることを約してある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

※上記赤字の部分が改正部分です。

【解説】

本条は、従来要物契約とされていた寄託契約について、諾成契約とするように改正されました。

もともと旧法に規定されていた要物契約については、その合理性について批判がある規定が多かったですが、本条もその一環で改正されています。

寄託契約を要物契約とすると、当事者が物の保管について合意をしていても、実際に物が交付されるまでは契約は成立せず、寄託者は相手方に対して物を受領せよ、という請求ができないことになります。そこで、旧法では、判例で当事者の合意のみで成立する諾成的寄託が認められていました。

なお、同じ要物契約とされていた消費貸借契約も、今回の改正で要物契約→諾成契約に改正されていますが、消費貸借契約では、諾成契約にされたものの「書面」で契約することが要求されていましたが(第587条の2)、寄託契約においては、そのようなことはなく、「書面」で契約することは要求されていません。