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第648条の2(成果等に対する報酬)
【改正法】 (成果等に対する報酬) 第648条の2 委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない。 2 第634条の規定は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合について準用する。 【参照条文】 (注文者が受ける利益の割合に応じた報酬) 第634条 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。 一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。 二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。 |
【旧法】 なし |
※上記赤字の部分が改正部分です。
【解説】
本条は、新設の規定で、委任契約において「成果」等に対して報酬が支払われる場合の規定です。
委任契約では、事務処理の労務に対して報酬を支払う類型と、事務処理による成果に対して報酬を支払う類型があるとされます。ところが、旧法では前者の労務に対して報酬を支払う場合については規定がありましたが、成果に対して報酬を支払うタイプ(たとえば、弁護士の成功報酬や不動産仲介業者の報酬)のものについて規定がありませんでしたので、本条が新設されました。
まず、第1項で、成果に対して報酬を支払う類型の場合で、成果の引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならないとしています。このような類型の場合は、請負と同様の規律が妥当だと考えられますので、請負の場合(第633条)と同様の規定が設けられました。
また、報酬の内容についても、成果に対して報酬を支払う類型について、請負の場合の第634条(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)の規定を準用しました。
したがって、一定の場合には、受任者が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって委任者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなされることになります。これは、個人が有償で自ら役務を提供する契約であって準委任に該当する契約の場合には、仕事を完成させる内容のものであることが多く、仕事の完成の基準が明確でないために、「仕事が完成していない」という理由で、報酬の支払を拒絶されるという紛争が生じているようなので、このような場合に「仕事の完成とみなす」ことによって、受任者も報酬を受領することができます。