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第604条(賃貸借の存続期間)
【改正法】 (賃貸借の存続期間) 第604条 賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、50年とする。 2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から50年を超えることができない。 |
【旧法】 (賃貸借の存続期間) 第604条 賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、20年とする。 2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から20年を超えることができない。 |
※上記赤字の部分が改正部分です。
【解説】
本条は、赤字の法改正部分を見てもらえば一目瞭然ですが、賃貸借の存続期間を20年から50年に延長しています。
このように民法上の賃貸借の存続期間の上限を20年と定めたのは、賃貸借の目的物を長期にわたって他人の使用・収益に供すると、目的物の改良が不十分となり経済上の不利益が生ずる可能性があります。また、長期間にわたる不動産の利用は地上権か永小作権によって行えばよいと考えられていたようです。
しかし、実際には長期にわたる不動産の利用に地上権や永小作権が使われているということはほとんどなく、賃借権が利用されています。そこで、特別法の借地借家法では、建物所有目的の土地賃貸借では原則として最低30年(借地借家法3条等)、建物賃貸借では上限は定められておらず(借地借家法29条2項)、農地法では最長50年(農地法19条)とされていました。
そこで、民法上の賃貸借の存続期間の上限を撤廃し、本条を削除しようとする考えもありました。しかし、存続期間の上限を撤廃すると、100年を超えるような賃貸借を設定することも可能となります。このような長期の賃貸借を認めると弊害が生じる危険があります。
現代社会では、20年を超える賃貸借のニーズがあります(たとえば、ゴルフ場の敷地である山林の賃貸借など)。このように現状の存続期間20年の維持というのも不十分であるし、逆に上限撤廃もおかしいということで、最長50年に延長されることになりました。