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第600条(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)


【改正法】
(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
第600条 (略)

2(新設) 前項の損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
【旧法】
(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
第600条 契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。

※上記赤字の部分が改正部分です。

【解説】

旧法は、契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還に関して、賃主・借主間の債権債務関係が長引くことを防止するため、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならないと規定しています。

この規定は、改正法においても、第1項でそのまま受け継いでいます。

しかし、第2項が新設されています。これは、旧法の用法違反による損害賠償請求権について、貸主が返還を受けた時から1年間は時効が完成しない旨を規定しています。改正法第1項は、損害賠償請求権は目的物返還から1年で消滅するという話であるのに対し、第2項は、返還から1年間は損害賠償請求権が「伸びる」という話です。

というのは、用法違反による損害賠償請求権は債権であり、権利を行使することができる時から10年間行使しないときは、時効消滅します(166条1項2号)。そもそも、賃貸借において目的物は賃借人の手元にあり、賃貸人が賃借物の状況を把握することは困難です。他方、賃貸借契約は長期にわたることが多くなります。したがって、目的物を返還するときには、すでに損害賠償請求権が時効消滅している可能性があります。

そこで、第2項のような規定を設けました。