旧第571条(売主の担保責任と同時履行)削除
【改正法】 削除 |
【旧法】 (売主の担保責任と同時履行) 第571条 第533条の規定は、第563条から第566条まで及び前条の場合について準用する。 |
※上記赤字の部分が改正部分です。
【解説】
本条は、売主の担保責任の場合に同時履行の規定が準用されている規定ですが、この規定全体が削除されています。これは、担保責任(契約不適合責任)の場合に同時履行の規定が適用されなくなったということではなく、契約不適合責任の法的性質が債務不履行責任とされたことにより、本条は単なる確認規定に過ぎないことになったので、意味がなくなったとして削除されたものです。
念のため解説すると、旧法は、同時履行の規定を第563条から第566条まで及び前条の場合について準用しています。ちなみに、「第563条から第566条まで及び前条」というのは、下記の内容です。
第563条・第564条(権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任)~代金減額請求、損害賠償、解除
第565条(数量の不足又は物の一部滅失の場合における売主の担保責任)~損害賠償、解除
第566条(地上権等がある場合等における売主の担保責任)~損害賠償、解除
第570条(売主の瑕疵担保責任)
これらの規定によって、代金の減額請求又は解除をした場合には、買主は目的物の一部又は全部を返還すべき債務が生じることになりますが、この両当事者の債務を同時履行の関係に立つとすることによって公平を図ったものだとされていました。
これらの担保責任の規定は、今回の改正により契約不適合責任としてまとめられていますが、その契約不適合責任によると、買主の保護としては、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、解除が認められています。
しかし、追完請求や塡補賠償請求権は、本来の履行請求権の変形物であるから、同時履行の規定(533条)が適用されるのは当然です。また、解除は債務不履行解除になるため、解除の場合の同時履行の規定(546条)が適用されることになります。さらに、代金減額請求についても、一部解除の実質を有するので546条で処理できることになります。
このように契約不適合責任について、別途同時履行の533条の規定を準用する規定を置く意味はないと言うことで、今回削除されています。