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第550条(書面によらない贈与の解除)
【改正法】 (書面によらない贈与の解除) 第550条 書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。 |
【旧法】 (書面によらない贈与の撤回) 第550条 書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。 |
※上記赤字の部分が改正部分です。
【解説】
本条は、旧法の「撤回」という用語が、「解除」という言葉に変更されているだけの改正です。これは用語の統一を図るということのようです。
このように「解除」という言葉が使われることになり、解除に関する総則的な規定である第540条以下についても適用されるようですが、これには結構例外もあります。
元々本条は、書面によらない贈与について、各当事者が解除できることを規定しているわけですが、「履行の終わった部分」については、解除を認めていないことから分かるように、本条は履行が終わっていない場面を想定しています。
したがって、解除に関する総則的規定(第540条以下)のうち、すでに履行がなされている給付の原状回復を認める第545条や、相互の原状回復義務について同時履行の抗弁権を認める第546条は適用されないものと考えられます。また、すでに給付を受けた者がその目的物の損傷等をした場合に解除権が消滅すると規定している第548条も適用されないことになります。
また、贈与の無償性から、解除権の消滅に関する第547条も適用がないと解されています。