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第545条(解除の効果)
【改正法】 (解除の効果) 第545条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。 2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。 3(新設) 第1項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。 4 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。 |
【旧法】 (解除の効果) 第545条 (同上) 2 (同上) (新設) 3 (同上) |
※上記赤字の部分が改正部分です。
【解説】
本条の解除の効果の規定は、基本的には従来のままですが、第3項が新設されています。
解除の効果は、未履行の債務については、相手方にそれを請求する権利が消滅しますが、履行済みの債務については原状回復義務が発生します。
そして、原状回復の点について、「金銭」については、受領の時から利息を付さなければならない旨の規定が置いていますが、これはあくまで例示にすぎず、金銭以外のものついても、果実や使用利益相当分は返還しなければならないとされています(大判昭和11年5月11日等)。
この場合の改正の方法としては、原状回復義務の範囲は、現にされた履行の内容や目的物の性質,解除原因となった不履行の態様など様々な事情を考慮して個別具体的に決せられるべきであるから、第2項を削除して、個別具体的な原状回復義務の範囲の解釈に委ねるという方法もありえます。
しかし、改正法では、そういう方法はとらず、第2項に対して第3項を新設し、金銭以外の物の返還にあたって、その受領の時以後に生じた果実を返還しなければならない旨の規定を追加しました。
なお、解除の効果として両当事者は履行の請求ができなくなります。また、解除の効果に関する法的性質については、判例が採用していると言われている直接効果説があります。これらの点について明文化するという話もありましたが、それは見送られているようです。