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第525条(承諾の期間の定めのない申込み)


【改正法】
(承諾の期間の定めのない申込み)
第525条 承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。

2(新設)対話者に対してした前項の申込みは、同項の規定にかかわらず、その対話が継続している間は、いつでも撤回することができる。

3(新設)対話者に対してした第1項の申込みに対して対話が継続している間に申込者が承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。ただし、申込者が対話の終了後もその申込みが効力を失わない旨を表示したときは、この限りでない。
【旧法】
(承諾の期間の定めのない申込み)
第524条 承諾の期間を定めないで隔地者に対してした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。

※上記赤字の部分が改正部分です。

【解説】

1.総論

承諾期間の定めのある申込みについては第523条に規定されていますが、本条は、承諾期間の定めのない申込みについての規定です。そして、本条に相当する旧法の規定は、524条になりますが、旧法524条では、「隔地者」に対する申込みの規定はありますが、対話者に対する承諾期間の定めのない申込みについての規定はなく、その部分が追加されています。

2.第1項

承諾期間の定めのない申込みは、承諾の通知を受けるのに相当な期間は撤回できません。これは旧法と同じですが、旧法では隔地者に対するもののみが規定されていますが、改正法では、隔地者に対するものに限定せず規定しています。そして、但書を追加して、申込者が撤回をする権利を留保したときには、相当期間の経過前の撤回も認めています。

3.対話者間(第2項、第3項)

最初に書きましたように、承諾期間の定めのない申込みについては、この対話者間の規定がありません。現在では、通信手段等が高度に発達していますので、この対話者間の契約に関する規定の重要性が増しているといわれています。この点について、商法では第507条で「商人である対話者の間において契約の申込みを受けた者が直ちに承諾をしなかったときは、その申込みは、その効力を失う。」と規定していますが、旧法にはこれに相当する規定がなく、第2項・第3項が追加されました。

具体的には、本来、承諾期間の定めのない申込みについては、第1項で承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは撤回できないはずですが、対話者間においては、その対話が継続している間は、いつでも撤回することができます(第2項)。

その反面、対話が継続している間に承諾の通知がなされなかったときには、その申込みは効力を失うことになります。ただし、申込者が対話の終了後もその申込みが効力を失わない旨を表示したときは、申込みの効力は持続します(第3項)。