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第482条(代物弁済)
【改正法】 (代物弁済) 第482条 弁済をすることができる者(以下「弁済者」という。)が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。 |
【旧法】 (代物弁済) 第482条 債務者が、債権者の承諾を得て、その負担した給付に代えて他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。 |
※上記赤字の部分が改正部分です。
【解説】
本条は、代物弁済に関する規定ですが、従来この規定の解釈についてはいろいろ議論があって、それをある程度明らかにする改正がなされました。
まず、旧法では「債務者」が代物弁済できる旨が規定されていますが、改正法では「弁済者」が代物弁済できるというふうに改正されています。これは、債務者以外の第三者が代物弁済できるか、という問題があって、一般的に代物弁済にも第474条(第三者の弁済)が類推適用され、同条の要件を満たす限り、第三者の代物弁済も認められています。そこで、「債務者」→「弁済者」と改めることによって、このことを条文上も明らかにしました。
次に代物弁済の法的性質について、要物契約か諾成契約かという点について争いがあります。これについて判例は、明確に判断していないものの、実務上、代物弁済の予約等の担保目的の取引で利用されることが多く、代物弁済を諾成契約として、代物給付義務を認めることが実務や判例の結論とも整合的であると言われています。
そこで、改正法は、弁済者が本来の給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の「契約をした場合」とし、そのような契約をすることを認めており、諾成契約ということになります。
そして、諾成契約である以上、代物弁済の合意によって代物給付義務は発生します。しかし、このような契約を締結しただけで債務が消滅するわけではなく、代物の給付をしたときに「弁済と同一の効力」、すなわち債務が消滅することになります。ちなみに、更改契約の場合は、「契約」をした段階で、旧債務は消滅することになります(513条)。