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第478条(受領権者としての外観を有する者に対する弁済)
【改正法】 (受領権者としての外観を有する者に対する弁済) 第478条 受領権者(債権者及び法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者をいう。以下同じ。)以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。 |
【旧法】 (債権の準占有者に対する弁済) 第478条 債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。 |
※上記赤字の部分が改正部分です。
【解説】
本条の改正は、「債権の準占有者」という用語について定義付けをしたという内容です。
そもそも「債権の準占有者」という用語は分かりにくいという指摘がなされています。また、民法205条には財産権の「準占有」という言葉がありますが、この規定と本条は趣旨も異なり、これらの規定の解釈についても、問題が生じます。
そこで、改正法では、まず弁済の「受領権者」の定義として、カッコ書きで「債権者」及び「法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者」というふうに規定し、「債権の準占有者」という言葉は使わずに、「受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するもの」に対してした弁済が有効になる場合を規定する、という形にしています。
ただ、それ以外の内容は改正なし、という結論になっています。いろいろな議論がなされたようですが、弁済というのは債務者の義務行為であり、弁済がスムーズに行われないと、取引関係が阻害されるということで、弁済者が善意無過失であれば免責されるという旧法の内容が維持されています。