第461条(主たる債務者が保証人に対して償還をする場合)
【改正法】 (主たる債務者が保証人に対して償還をする場合) 第461条 前条の規定により主たる債務者が保証人に対して償還をする場合において、債権者が全部の弁済を受けない間は、主たる債務者は、保証人に担保を供させ、又は保証人に対して自己に免責を得させることを請求することができる。 2 前項に規定する場合において、主たる債務者は、供託をし、担保を供し、又は保証人に免責を得させて、その償還の義務を免れることができる。 |
【旧法】 (主たる債務者が保証人に対して償還をする場合) 第461条 前2条の規定により主たる債務者が保証人に対して償還をする場合において、債権者が全部の弁済を受けない間は、主たる債務者は、保証人に担保を供させ、又は保証人に対して自己に免責を得させることを請求することができる。 2 前項に規定する場合において、主たる債務者は、供託をし、担保を供し、又は保証人に免責を得させて、その償還の義務を免れることができる。 |
※上記赤字の部分が改正部分です。
【解説】
本条は、内容的には改正はありません。ただ、旧法「前2条」→改正法「前条」という部分の文言のみが変更されています。
「それだけです」ということですが、旧法「前2条」→改正法「前条」という部分がちょっとひっかかります。確認ですが、本条は保証人が主たる債務者に対して求償権を行使する場合に、主たる債務者が保証人に担保等を要求することができるという規定です。そして、念のため、旧法前2条という部分の内容を見てみましょう。
旧法第459条(委託を受けた保証人の求償権)
旧法第460条(委託を受けた保証人の事前の求償権)
そして、改正法では、「前条」だけです。これだけザクッと見ていると、旧法では事前求償権の場合だけでなく、主たる債務者が保証人の求償に応じる場合に、保証人に対して担保等を要求することができるが、改正法によれば、第459条(委託を受けた保証人の求償権)が外されているわけですから、事前求償の場合だけ担保等を要求できるように変わった、というふうに読めそうですが、それは間違いです。
旧法でも、改正法でも、事前求償の場合だけ、主たる債務者は保証人に対して担保等を要求できる、という点で変更はありません。
旧法459条は、「過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受け」たときに求償権を行使できる旨を規定していますが、この求償権については、「事前」求償であることに異論はありません。
つまり、旧法においては、459条と460条に分けて事前求償ができる場合を規定していたので、前2条の場合=事前求償の場合に、主たる債務者は保証人に担保等を要求できる、と規定する必要があったわけです。
ところが、旧法459条の「過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき」というのは、改正法では460条第3号に移行しています。つまり、改正法においては、「事前」求償=460条の1カ条のみということになったので、旧法「前2条」→改正法「前条」という改正になりました。