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第458条(連帯保証人について生じた事由の効力)


【改正法】
(連帯保証人について生じた事由の効力)
第458条 第438条、第439条第1項、第440条及び第441条の規定は、主たる債務者と連帯して債務を負担する保証人について生じた事由について準用する。
【旧法】
(連帯保証人について生じた事由の効力)
第458条 第434条から第440条までの規定は、主たる債務者が保証人と連帯して債務を負担する場合について準用する。

※上記赤字の部分が改正部分です。

【解説】

本条は、連帯保証に関する規定ですが、そもそも連帯保証というのは、連帯保証人に催告・検索の抗弁権が認められず、分別の利益も認められないので、通常の保証人よりも不利な立場に立たされ、いろいろな問題点が指摘されていました。実際の取引において保証が用いられる場合は、ほとんどの場合、この連帯保証の形を取るといわれているので、連帯保証制度自体の廃止も含めて、議論がされたようですが、この条文があることから分かりますように、連帯保証制度自体は存続しています。

そして、本条の「連帯保証人について生じた事由の効力」については、改正法は形の上では旧法を引き継いでいます。すなわち、連帯保証人について生じた事由は、連帯債務の規定(絶対的効力)を準用するということです。しかし、今回の改正では、連帯債務の絶対的効力事由が縮小されているので、その影響を受けています。

従来、連帯債務の絶対効が認められていたのは、履行、請求、更改、相殺、免除、混同、時効の7つですが、そのうち、請求、免除、時効については、今回の改正で絶対的効力事由ではなくなりました。そして、連帯保証人には、連帯債務者と異なり負担部分というのがありませんので、連帯債務の規定の準用において、重要な意義を有するのは「請求」ということになります。その請求が、今回の連帯債務の規定に関する改正で絶対的効力事由から外されています。

旧法の規定によると、連帯保証人に対する履行の請求の効果が主たる債務者にも及んでいたので、主債務者の関与しない連帯保証契約によって主債務者が不利益を受けることについては、批判がありましたが、それは解消されています。