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旧第434条(連帯債務者の一人に対する履行の請求)


【改正法】
削除
【旧法】
(連帯債務者の一人に対する履行の請求)
第434条 連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても、その効力を生ずる。

※上記赤字の部分が改正部分です。

【解説】

1.連帯債務の絶対効

旧法でいうと、第434条から連帯債務のいわゆる絶対効(絶対的効力)の規定が続きます。そこで、まず絶対効全般について説明した後、本条の「履行の請求」及び改正法438条以下の絶対効について見ていきます。

今回の改正法では、連帯債務の絶対効が見直されています。

そもそも連帯債務は、人的担保の機能を有するとされています。つまり、債権者から見て、連帯債務者の一人が無資力に陥ったとしても、他の連帯債務者から回収することによって、危険を分散することができます。

そういう観点からすると、絶対的効力事由が多いと、この連帯債務の担保的効力を弱めることになり、債権者の意思に反するのではないか、というのが今回の連帯債務の絶対効の見直しの背景です。つまり、絶対的効力事由を「絞り込む」ということです。

2.履行の請求

旧法においては、この履行の請求は絶対効を有すると規定されていました。この履行の請求は、時効の中断と結びついています。すなわち、連帯債務者の一人に対して請求しておけば、他の連帯債務者に対しても請求したことになるので、連帯債務者全員の時効が中断することになります。つまり、履行の請求に絶対効があるということは、債権者に有利だということになります。

今回の改正では、先程の説明で分かりますように、債権者に有利なように絶対的効力事由を絞り込んで減らしています。しかし、履行の請求に絶対的効力を認めるということは、債権者に有利なのであって、これを絶対的効力事由から外すということは債権者に不利だということになります。

しかし、連帯債務者側の利益を考えると、請求を受けていない連帯債務者から見れば、自分の知らない間に時効が中断してしまうことになるので、このような観点から、履行の請求が絶対的効力事由から外されることになりました。