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第425条の2(債務者の受けた反対給付に関する受益者の権利)


【改正法】(新設)
(債務者の受けた反対給付に関する受益者の権利)
第425条の2 債務者がした財産の処分に関する行為(債務の消滅に関する行為を除く。)が取り消されたときは、受益者は、債務者に対し、その財産を取得するためにした反対給付の返還を請求することができる。債務者がその反対給付の返還をすることが困難であるときは、受益者は、その価額の償還を請求することができる。
【旧法】
なし

※上記赤字の部分が改正部分です。

【解説】

第425条の2(債務者の受けた反対給付に関する受益者の権利)

詐害行為取消権が行使されると、詐害行為の効力は否定され、逸出した財産は債務者の元に返還されることになります(424条の6)。そして、受益者が財産を取得するために反対給付をしていた場合、受益者にその反対給付の返還請求を認めたのが本条です。

なんとなく読むと、当然のような気がしますが、旧法の下では、受益者はその反対給付の返還を直ちに求めることはできないとされていました。すなわち、取消債権者が現実に被保全債権の満足を受けたときに限り、債務者に対して不当利得の返還を請求できるにすぎないということです。

しかし、そもそも債権者取消権を行使するには、債務者は無資力であることが要求されているので、受益者が債務者に対して不当利得の返還請求をしたとしても、その返還を受けることは困難です。

これに対しては、受益者は、詐害行為に加担したわけですから、受益者に対する制裁としてやむを得ないとする見方もあります。

ただ、破産法においては、受益者の反対給付について、原則として財団債権として扱い、破産債権に先立って弁済されるとしています(破産法168条1項)。詐害行為取消権についても、この破産法との整合性を保つ必要があります。

そこで、詐害行為が取り消されたときは、受益者は、債務者に対し、取消債権者や他の債権者に優先して、反対給付の返還を請求することができることにしました(本条前段)。

なお、先程書いた破産法168条1項では、破産者の受けた反対給付が破産財団中に現存しない場合には、財団債権者として反対給付の「価額」の償還を請求する権利を行使できると定めていますが(破産法168条1項2号)、詐害行為取消権においても同様に、本条後段で、債務者がその反対給付の返還をすることが困難であるときは、受益者は、その「価額」の償還を請求することができる旨を規定しました。