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旧第170条(3年の短期消滅時効)削除


【改正法】
削除
【旧法】
(3年の短期消滅時効)
第170条 次に掲げる債権は、3年間行使しないときは、消滅する。ただし、第2号に掲げる債権の時効は、同号の工事が終了した時から起算する。
一 医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権
二 工事の設計、施工又は監理を業とする者の工事に関する債権

※上記赤字の部分が改正部分です。

【解説】

1.短期消滅時効

この第170条から第174条までは、旧法では時効期間を3年、2年又は1年とする職業別の短期消滅時効の規定が続いていました。このような規定が設けられた趣旨は、これらの債権については、比較的少額なものが多く、その権利関係を早期に解決するために短期の時効期間を定めたものです。

しかし、この短期消滅時効については、ある債権についてどの時効期間が適用されるのか複雑で分かりにくいという問題がありました。そうなると、ある債権についてどの規定が適用されるのかを確認するのに手間取り、適用の誤りや見落としの危険が生じます。そもそも、現代社会においては取引が複雑化・多様化しているので、この特例の適用を受けるのかどうかの判断も難しくなっています。

また、1~3年という時効期間の区別も合理性に乏しいとされています。母法のフランスでもこの短期消滅時効は、2008年に廃止されているそうです。

なお、民法上の職業別の短期消滅時効だけでなく、5年の商事消滅時効も廃止されています(商法522条)。このように商事債権について短期の消滅時効期間が定められているのは、商行為によって生じた債権につき、早期決済を可能にするという趣旨で定められていました。

しかし、銀行の貸付債権は、商事消滅時効期間の5年が適用されるにもかかわらず、商人でない信用金庫の貸付債権には民法の消滅時効期間の10年が適用されるなど不合理があります。

そこで、民法上の職業別の短期消滅時効及び商事消滅時効の制度をすべて廃止して、通常の債権として一本化されています。そうすると、従来の民法では債権の消滅時効期間は10年ということになりますので、大幅な時効期間の延長ということになります。そこで、従来の一般債権の消滅時効期間の規定自体が、今回の改正で見直されています(第166条)。具体的には、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間、権利を行使することができる時から10年間というのが統一された消滅時効期間になります。

■職業別短期消滅時効(民法170~174条)の改正内容
債権の種類 旧法 改正法
期間 条文 期間 条文
医師の診療報酬等 3年 170条
171条
主観的起算点:5年
客観的起算点:10年
166条
弁護士の報酬等
売掛債権等
2年 172条
173条
飲食代金等
動産のレンタル代金等
1年 174条
商取引債権 5年 商法522条

2.本条

上記の説明でお分かりのように、本条は削除されています。