第124条(追認の要件)
【改正法】 (追認の要件) 第124条 取り消すことができる行為の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後にしなければ、その効力を生じない。 2 次に掲げる場合には、前項の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にすることを要しない。 一 法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をするとき。 二 制限行為能力者(成年被後見人を除く。)が法定代理人、保佐人又は補助人の同意を得て追認をするとき。 (削除) |
【旧法】 (追認の要件) 第124条 追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じない。 2 成年被後見人は、行為能力者となった後にその行為を了知したときは、その了知をした後でなければ、追認をすることができない。 3 前2項の規定は、法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をする場合には、適用しない。 |
※上記赤字の部分が改正部分です。
【解説】
1.追認の要件(第1項)
本条は、追認の要件について、旧法の規定で不十分な点を追加するような改正になっています。
旧法においては、追認の要件として「取消しの原因となっていた状況が消滅した後」に追認しなければならない旨を規定していました。
しかし、追認は、取消権の放棄ですから、取消原因の消滅だけでなく、対象となる行為について取消権を行使することができることを知っていたことが必要だ、というのが通説・判例(大判大5年12月28日)です。
そこで、改正法では、追認の要件として、「取消しの原因となっていた状況が消滅」するだけではなく、「取消権を有することを知った後」に追認することが必要である旨を明文で規定しました。
なお、旧法第2項は、成年被後見人が、行為能力者となった後の追認は、その了知をした後でなければできない旨を規定しており、改正によりこの規定がなくなっています。これは、上記の説明で分かりますように、改正法の第1項でカバーできているので、別途規定を置く必要はなく、削除されています。
2.取消原因消滅前の追認(第2項)
次に第2項で、取消原因の消滅前にも追認できる場合をまとめています。
まず、第1号で、「法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をするとき」を挙げていますが、これは旧法の第3項と同じです。
第2号は、「制限行為能力者(成年被後見人を除く。)が法定代理人、保佐人又は補助人の同意を得て追認をするとき」というのを挙げています。これは旧法には規定はありません。しかし、制限行為能力者は、法定代理人・保佐人・補助人の同意を得れば、単独で法律行為を行うことができるものである以上、これらの者の同意があれば自ら追認もできると考えられています。そこで、本号が追加されました。なお、成年後見人は同意権がないので、本号では「成年被後見人を除く」というカッコ書きが付いています。