第13条(保佐人の同意を要する行為等)
【改正法】(新設) (保佐人の同意を要する行為等) 第13条1項 10 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第17条第1項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。 |
【旧法】 なし |
※上記赤字の部分が改正部分です。
【解説】
本条は、第13条1項10号のみの追加ということになります。
この第10号は、ちょっと分かりにくいというのか、読みにくい条文だと思いますので、柱書の部分と合体させて条文を読み替えますと、「被保佐人が、前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び被補助人)の法定代理人としてするには、その保佐人の同意を得なければならない。」という条文になります。
それでも、分かりにくいですが、被保佐人が制限行為能力者の法定代理人になった場合に、その被保佐人が制限行為能力者の法定代理人として第1号~9号の行為をするには、保佐人の同意が必要だ、という意味の条文になります。
まだ、分かりにくいという人も多いかと思いますが、登場人物は、下記のようになります。
保佐人A
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被保佐人B(例:親)
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制限行為能力者C(例:子)
もともと第1号~9号の意味は、被保佐人Bが自ら不動産の売買をするような場合には、保佐人Aの同意が必要だ、という意味です。
それでは、たとえば、親である被保佐人Bが、子である制限行為能力者Cの法定代理人として不動産の売買等をするような場合に、保佐人Aの同意が必要なのか、という点について、旧法では第10号がなかったので、はっきりしませんでしたが、改正で第10号が追加されたことにより、はっきりしました。つまり、Aの同意が必要だ、ということです。
そもそも被保佐人が、制限行為能力者の保護者になることができるのか、という点については、肯定されています。たとえば、もともと、被保佐人であった親に子供が生まれると、被保佐人は子供の親権者になります。また、親が被保佐人になったからといって、親権がなくなるわけでもありません。したがって、被保佐人が、他の制限行為能力者の法定代理人になることもあります。
このような場合に、制限行為能力者Cの不動産の売買等に行為について、被保佐人BがCの法定代理人として行うには、保佐人Aの同意が必要だということになります。Aの同意がなければ取り消すことができます(第13条4項)。
なお、第102条によると、制限行為能力者(上記Bにあたる)が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない、となっています。ということは、第13条1項10号を追加すれば、上記Bは取り消すことができなくなりそうなので、第102条但書で、例外的に「制限行為能力者(B)が他の制限行為能力者(C)の法定代理人としてした行為については、この限りでない。」というのが追加されています。
また、第120条の取消権者の規定で、制限行為能力者も取消権者とされていますが、この制限行為能力者は「他の制限行為能力者(C)の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者(C)を含む」という規定が新設されています。