下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成17年 問19

【問 19】 都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 区域区分は、都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときに、都市計画に定める市街化区域と市街化調整区域との区分をいう。

2 準都市計画区域は、都市計画区域外の区域のうち、相当数の住居その他の建築物の建築又はその敷地の造成が現に行われ、又は行われると見込まれる一定の区域で、そのまま土地利用を整序することなく放置すれば、将来における都市としての整備、開発及び保全に支障が生じるおそれがあると認められる区域をいう。

3 再開発等促進区は、地区計画について土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進とを図るため、一体的かつ総合的な市街地の再開発又は開発整備を実施すべき区域をいう。

4 高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途を適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域等において定められる地区をいう。

【解答及び解説】

【問 19】 正解 4

1 正しい。区域区分は、都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるとき、都市計画に定める市街化区域と市街化調整区域との区分をいう。
*都市計画法7条1項

2 正しい。準都市計画区域は、都道府県が指定する区域で、都市計画区域外の区域のうち、相当数の住居その他の建築物の建築又はその敷地の造成が現に行われ、又は行われると見込まれる一定の区域で、そのまま土地利用を整序することなく放置すれば、将来における都市としての整備、開発及び保全に支障が生じるおそれがあると認められる区域をいう。

【じっくり解説】平成22年 問16 肢2

*都市計画法5条の2第1項

3 正しい。再開発等促進区とは、一定の条件に該当する土地の区域における地区計画について、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進とを図るため、一体的かつ総合的な市街地の再開発又は開発整備を実施すべき区域のことをいう。

【じっくり解説】

本問の「再開発等促進区」というのは、地区計画の一種です。
地区計画自体は、宅建でよく出題されますが、条文の言葉を使うと「一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各街区を整備し、開発し、及び保全するための計画」ということで、簡単に言えば、それぞれの地区の特性に合わせてきめ細かな街づくりをしようというものです。(第12条の5第1項)

そして、その中の再開発等促進区は第12条の5第3項に定義規定があり、「一定の要件を満たす地区計画については、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進とを図るため、一体的かつ総合的な市街地の再開発又は開発整備を実施すべき区域」とされているので、本問は条文そのままで「正しい」というのが正解です。

ただ、都市計画法に限りませんが、法律の表現というのは分かりにくいですね。
「一定の要件を満たす地区計画」というところで、再開発等促進区が地区計画の一種であることが分かります。

そして、再開発等促進区というくらいですから、文字通り、土地の「再開発」を「促進」したい区域について指定されます。どのような土地を再開発するかというと、「土地の合理的かつ健全な高度利用」を図るということなので、工場や倉庫跡地のような未利用の土地を再開発しようということです。

そして、再開発の結果、ビルなどをどんどん建てればいいかというとそうではなく、「都市機能の増進」を図らないといけないので、道路又は公園、緑地、広場その他の公共空地等の公共施設も同時に整備します。
そして、建物の用途や容積率を柔軟に緩和し、壁面の位置の制限なども行い、一体的かつ総合的な市街地の再開発又は開発整備を実施するような区域です。

なお、再開発等促進区は、「用途地域が定められている土地の区域であること」が要件の一つとして挙げられています。

*都市計画法12条の5第3項

4誤り。高層住居誘導地区とは、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域で定められる区域である。第一種・第二種中高層住居専用地域において定められることはない。
*都市計画法9条16項


【解法のポイント】肢3は、あまり出題されない範囲だと思います。宅建試験の場合、4つの肢ともスッと解けて、すんなり正解肢が1つ選べるというのは、意外に少ないですね。保留の肢が出てくるのが普通くらいに思っておいて解いていった方がいいと思います。