「善管注意義務」「自己の財産におけるのと同一の注意義務」


【解説】

1.善管注意義務、自己の財産におけるのと同一の注意義務とは

この「善管注意義務」というのは、「善良な管理者の注意義務」を略したものです。

それでは、この善管注意義務というのはどういうものか。

ちょっと難しくなりますが、この善管注意義務は、債務者の属する職業その他に応じた抽象的平均人を想定して判定する注意義務です。

この善管注意義務は、対比する言葉として「自己の財産におけるのと同一の注意義務」というのがあります。これは、行為者その人の職業・性別・年齢など、具体的注意能力に応じた注意を欠くことをいいます。この「自己の財産におけるのと同一の注意義務」というのは、民法上いろいろな表現の仕方があるので、下記の「■ 民法の規定」を参照して下さい。

以上、「善管注意義務」と「自己の財産におけるのと同一の注意義務」というのは、その意味や具体的な位置付けなどについては、非常に難しくなりますので、「善管注意義務」は重いのに対して、「自己の財産におけるのと同一の注意義務」はそれより軽くなると覚えておけば十分でしょう。


■ 民法の規定
・善管注意義務…留置権者(298条1項)、特定物の引渡し(400条)
・「自己の財産に対するのと同一の注意」(無償受寄者、659条)、「自己のためにするのと同一の注意」(親権者の財産管理、827条)、「固有財産におけるのと同一の注意」(相続人の相続財産の管理、918条)、「自己の財産におけるのと同一の注意」(相続放棄者の相続財産の管理、940条)


図を拡大


その他の用語解説に戻る