「対抗」とは
【解説】
法律用語で「対抗」というのは非常によく使います。というより、頻繁に登場する言葉ですね。
この言葉の意味自体は、十分理解できると思いますが、「主張」と読み替えれば意味は通じます。
最近、私は人前で法律の説明をするときは、法律用語をできるだけ分かりやすい言葉に「置き換える」というのをよくやっています。
「対抗」は「主張」と読み替えれば分かります、というような説明の仕方ですね。
これはおおむね評判はいいと思いますよ。
ところで、「対抗」は「主張」ということですが、この「対抗」という言葉が使われる場合として、不動産の二重譲渡なんかが典型例ですよね。
AがBに不動産を譲渡した後(第一譲渡)、同一の不動産の登記名義がAに残っているので、AがCに二重に譲渡し(第二譲渡)、Cが先に登記を備えると、Cは後から不動産を譲り受けたにもかかわらず、Bは当該不動産の所有権をCに対抗(主張)できない、という例です。
このBがCに所有権を「対抗」できないというのは、Bの側からCに所有権を主張できないだけです。
「対抗」というのはそういう意味なんですね。
逆に、Cの側から「Bが先に譲り受けたのならば、私は遠慮しておきます。」と言って、CからBの所有権を認めることは何ら差し支えありません。
もちろん、この場合Bはできるだけ早く自己名義の登記を得ておくべきで、C以外の別のDというような登記を備えた第三者が現れると、BはDに所有権を対抗できなくなります。
これは、不動産の二重譲渡だけでなく、債権譲渡などでも「対抗」の問題は出てきますし、その他にもいろいろ出てきますのが、同じ考え方で行けます。
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