原本、正本、副本、謄本、抄本
【解説】
【読み方】げんぽん、せいほん、ふくほん、とうほん、しょうほん
このページでは、「正本」と「副本」という話をしますが、それに関連して、「原本」「謄本」「抄本」についても触れます。
この「正本」と「副本」という言葉を宅建試験でお目にかかる場面としては、税その他>税金>印紙税、のところでしょうか。
まず、文書等を作成したときに、作成者が最初に作ったオリジナルの文書のことを「原本」といいます。これは、分かりやすいでしょう。
この原本と混同しやすいのが、「正本」という概念です。正本は、原本とは異なります。
その前に、原本を全部完全に写したものを「謄本」といいます。要するにコピーです。
この謄本という言葉は、以前は不動産登記法で出てきましたが、現在は登記のコンピューター化に伴って登記事項証明書という言葉に変わっているので、宅建試験ではほとんど使われません。
なお、謄本は、簡単に言うと原本の「全部」のコピーですが、原本の「一部」をコピーしたものを「抄本」といいます。
さて、原本と正本の違いですが、正本は実は「謄本」の一種です。
宅建試験でも、「確認判決の正本」(H11問44(2))という言葉が登場したことがありますが、そもそも原本というのは、一つしかありませんので、それが紛失すると大変です(原本を複数作ることも可能ですが、オリジナルの文書であるということで常に紛失すると代わりのものがないという点では同じです)。
そこで、権限のある者が原本と同一の効力を持つ「正本」という謄本を作るわけです。
先ほどの「確認判決の正本」という表現に即していうと、判決の原本はしっかり保管した上で、判決というのは強制執行などのときに必要となりますので、正本の方を強制執行等に利用するわけです。
「副本」というのは、この正本の写しになります。
本日の内容は、宅建試験で使われている言葉の説明でしたが、試験に限らず、社会常識の一環としても役に立ったのではないかと思います。
ところで、最初に宅建試験では、正本、副本という言葉は、印紙税のところで出題されていると書きましたが、どんな問題か思い浮かびますか?念のために、その過去問を指摘しておきましょう。
平成4年 問29です。