ワードで内容証明郵便を書く


【解説】

内容証明郵便というのは、実は、その様式が決まっています。

いろいろパターンがありますが、普通、パソコンで内容証明郵便を作成する場合は、多くの方は、横書きで書くと思います。そのような横書きの場合、1行に26文字以内で、1ページは20行で書きます。1行に20文字以内で、1ページが26行でもかまいません。

そして、内容証明郵便の場合、半角文字というのは、原則として認められません。また、句読点も1文字とカウントされ、句読点が行の一番最初にくる場合でも、前の行の最後に回すわけにはいきません。

要するに、文書の作成の仕方としては、一番原始的な書き方をするわけで、たとえて言うなら、原稿用紙の1マス1マスに、句読点であろうが、数字であろうが、1つずつ埋めていく感じで文書を作成します。

そして、通常の原稿用紙の使い方と異なり、句読点も行の一番最初に持ってこないといけません。これは、厳格に守らないといけないので、パソコンで内容証明郵便を作成するときは、ちょっと注意が必要です。

というのは、普通のワードの初期設定では、いろいろ便利な機能が付いています。

たとえば、「禁則処理」といって、行の一番最初に句読点がくるときは、前の行の一番最後に句読点を持ってきて、自動的に見栄えのよい文書にしてくれます。内容証明郵便では、このような「文明の利器」は使わず、原始的にすべて全角で、1マス1文字で文書を作成しなければならないわけです。

本来、一番原始的な文書の作成方法なわけですから、簡単にできそうですが、これがなかなかうまくいきません。

「まかせとけ!」という方は、次の文章をワードの文書に貼り付けて、すべて、1行26文字になるように加工してみて下さい。

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当方は貴殿に対し、○市○町1丁目2-34の土地(以下、「本件土地」という。)を賃貸しておりますが、平成18年10月26日に期限が到来いたします。

   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *

当たり前ですが、そのままコピーして貼り付けますと、書式情報も貼り付けられるので、
[編集]メニュー
  ↓
[形式を選択して貼り付け]
  ↓
「テキスト」
で貼り付けないといけません。

ワード2007の場合は、[ホーム]タブ-[クリップボード]グループの「貼り付け」-「形式を選択して貼り付け」-「テキスト」です。

さらに、フォントは「MS P明朝」のようなプロポーショナルフォントではなく、「MS 明朝」のような等幅フォントを使わないといけません。

以上に注意してまず、上の文章を貼り付けた上で、
[ファイル]メニュー
  ↓
[ページ設定]
  ↓
「文字数と行数」タブの「文字数と行数を指定する」にチェックマークを入れ、「文字数」を26文字、「行数」を20行にします。

ワード2007の場合は、[ページレイアウト]タブ-[ページ設定]グループの右下のダイアログボックス起動ツールをクリックして[ページ設定]ダイアログボックスを出して、後は同じです。

さあ、それで全部の行が26文字になっているかというと、そうではありません。
1行目全体を範囲指定して
[ツール]メニュー
  ↓
[文字カウント]
で文字数を見てみると、27文字になっていると思います。

ワード2007では、[校閲]タブ-[文章校正]グループの「文字カウント」です。

その原因は、先ほど書きましたように、1行目の最後に句読点がきていることから分かりますように、禁則処理がなされているからです。

この禁則処理を解除しないと、うまく1行26文字に収まりません。そこで、段落のどの場所でもよいから、カーソルを置いて
[書式]メニュー
  ↓
[段落]
  ↓
[体裁]タブの「改行時の処理」の「禁則処理を行う」と「句読点のぶら下げを行う」のチェックマークをはずします。

ワード2007では、[ホーム]タブ-[段落]グループの右下のダイアログボックス起動ツールをクリックして[段落]ダイアログボックスを出せば、後は同じです。

これで、句読点が2行目の最初に来て、1行目は26文字になったと思います。文字カウントで確認してみて下さい。

さあ、これで文書全体が、1行が26文字になったと思いきや、2行目全体を範囲指定して、[ツール]-[文字カウント]をクリックしてみて下さい。27文字になっていると思います。

そこで、2行目を見てみると、句読点とカッコが続けて出てきます。

" 。) "という部分です。

ここがどうも怪しい。この部分がきっちり全角2文字分の幅になっていません。これをきっちり全角2文字分に配列するにはどうすればいいでしょうか?

答えは、「カーニングをオフにする。」です。

実は、ワードには文書の見栄えをよくするために、文字の間隔を自動的に調整する機能として、「カーニング」という機能があります。「カンニング」じゃないですよ。

これが、1行26文字にするのを邪魔しています。このカーニングは、文字間隔を調整し文字が自然に見えるようにするためのものです。したがって、2行目をきっちり26文字にしたければ、このカーニングをオフにすれば、うまくいきます。

やり方は、「Ctrl+A」で文書全体を範囲指定して
[書式]メニュー
  ↓
[フォント]
  ↓
[文字幅と間隔]タブの「カーニングを行う」のチェックマークをはずします。

ワード2007では、[ホーム]タブ-[フォント]グループの右下のダイアログボックス起動ツールをクリックして、[フォント]ダイアログボックスを出せず、後は同じです。

こうすれば、バッチリ2行目も26文字に収まったと思います。

ところで、このカーニングは、普通の日本語の文章のとき、特に内容証明郵便のような全額文字ばかりを使うときには、機能しません。主に、半角の英字について適用される機能です。

しかし、半角の英字だけではなく、区切り文字にも適用されるので、日本語の文章でも、" 「」() "などが多く入る文章では、機能するようです。特に、" 「」() "と句読点が続けて出てくるような場合に機能してしまいます。

したがって、カーニングの機能を全くオフにしなくても、区切り文字だけについてカーニングをオフにすれば、内容証明郵便のような場合には、きっちり1行26文字に収めることもできます。
具体的には、文書の任意の場所にカーソルを置いて、
[ツール]メニュー
  ↓
[オプション]
  ↓
[文字体裁]タブ
  ↓
「カーニング」の「半角英字のみ」にチェックマークを入れれば、2行目はきれいに26文字で収まります。

ワード2007では、左上の「Office」ボタン-右下の「Wordのオプション」ボタン-左側の「文字体裁」-「カーニング」の「半角英字のみ」にチェックを入れます。


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