「区分建物」と「区分所有建物」の違い
【解説】
この「区分所有建物」と「区分建物」は、同じように使っている人が多いように思います。
「区分所有建物」と「区分建物」といえば、区分所有法(俗にマンション法、正確には「建物の区分所有等に関する法律」といいます。)ですが、この区分所有法には、「区分所有建物」「区分建物」という言葉の定義はありません。
そして、「区分所有建物」は、「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」(以下、「被災マンション法」という。)という法律によって定義されています。同法2条によると「建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分が属する一棟の建物」とされています。区分所有法2条3項は専有部分の定義の規定ですから、「専有部分が属する一棟の建物」が区分所有建物になります。つまり、専有部分を含む「一棟の建物」全体が「区分所有建物」ということになります。そして、この被災マンション法では、「区分建物」の定義はありません。
一方、「区分建物」の定義というのは、不動産登記法2条22号に出てきます。それによると、区分建物とは「一棟の建物の構造上区分された部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものであって、区分所有法第2条第3項に規定する専有部分であるものをいう。」とされています。つまり、区分建物というのは、「専有部分」であるということです。そして、不動産登記法では「区分所有建物」の定義はありません。
したがって、「区分建物」というのは、専有部分のこと、その専有部分を含む1棟の建物全体のことを「区分所有建物」ということがいえると思います。
ただ、その定義が複数の法律にまたがっているので、その法律内の定義としては、「区分所有建物」「区分建物」というのは、上記の内容として使われていることは間違いありませんが、一つの法律で、この2つの用語を同時に使っていて、それぞれの定義をして使い分けている法律は私の知る限りではありません。
したがって、区分建物と区分所有建物の違いは、上記のように理解しておいて、ただ、人によっては「区分建物」=「区分所有建物」のように使っている(ように思える)場合もあるので、注意をしておくということになると思います。