都市計画法58条の2(建築等の届出等)
【解説】
1.地区計画の区域内の建築等の届出等
地区計画が定められると、当然その地区計画に反するような建物を建ててもらっては困ります。そこで、「地区計画の区域内における建築等の規制」というのが問題になります。
ここのポイントは、「30日」「前」「市町村長」「届出」がポイントです。
行為後に届出をしたのでは遅く、「30日前」です。「30日」という数字も覚えておいて下さい。
「市町村長の届出」という部分も確実に覚えて下さい。ここで「都道府県知事」とか「許可」などと出たら「誤り」です。地区計画は、「きめ細かな街づくり」である以上、「市町村」です。
2.届出が不要な場合
第1項1号~5号に、この市町村長への届出が不要な場合が列挙されています。
① 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
② 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
③ 国又は地方公共団体が行う行為
④ 都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為
⑤ 第29条第1項の許可を要する行為その他政令で定める行為
上記の5つですが、それぞれ読んでもらえれば分かる内容だと思いますが、⑤は「開発許可を要する行為」ということです。
開発許可を受けるには、開発許可の基準を満たす必要がありますが、その開発許可の基準の規定である第33条1項5号に「当該申請に係る開発区域内の土地について地区計画等が定められているときは、予定建築物等の用途又は開発行為の設計が当該地区計画等に定められた内容に即して定められていること」というのが、開発許可の基準とされています。
つまり、開発許可を受ける際に、地区計画に適合しているかどうかは審査されるので、開発許可を要する行為については、本条の届出が不要とされているわけです。
3.届出事項の変更(第2項)
いったん届け出た事項を変更する場合にも、最初の届出と同様、行為に着手する日の30日前までに、市町村長に届け出る必要があります。
4.勧告(第3項)
届出制が取られている以上、その実効性を確保するために、「市町村長は、地区計画に適合しないと認めるときは、設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告」できます。
ここは、「命令」ではなく、「勧告」であることに注意して下さい。 →法律用語解説~「許可制」と「届出制」参照
5.あっせん(第4項)
建築等の届出をした者に対して勧告がなされると、届出者は設計の変更等を余儀なくされますので、困る場合があります。そこで、「市町村長は、必要があると認めるときは、土地に関する権利の処分についてのあっせんその他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない」ことになります。あくまで、努力義務です。