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都市計画法37条(建築制限等)

【解説】

1.開発行為と建築制限

この開発行為と建築制限については、地域によって異なりますので、まず全体の仕組みを理解していきましょう。

最初に説明したように、開発行為というのは、建築物の建築のための土地の造成行為でした。したがって、土地の造成が終われば、建物を建てます。

土地の造成→建築物の建築、という流れになります。

この開発行為(土地の造成)が行われた土地の部分を「開発区域」と言います。

この開発区域については、市街化区域であろうと市街化調整区域であろうと同じ規制がなされます。

ただ、この開発区域内の建築制限も、工事完了公告の前と後で規制が分かれます。この工事完了というのは、当然土地の造成工事のことです。

ただ、建築物を建築するときは、必ず土地を造成してから建物を建てるとは限りません。土地はすでに造成済みで、その上に建築物を建築するだけの場合もあります。

つまり、「土地の造成→建築物の建築」という流れではなく、土地の造成はなくて、「いきなり建築物の建築」ということになります。

この場合の建築物の敷地は「開発区域以外の土地の区域」ということになります。この「開発区域以外の土地の区域」については、市街化区域と市街化調整区域を分けて考えないといけません。

なお、ここで勉強していくのは、建築の制限になります。土地の分譲は制限されませんので注意して下さい。

次は、今説明した地域について個別に見ていくことになります。

2.開発区域内の建築制限~工事完了公告前

この開発許可を受けた土地(開発区域)においては、工事完了公告の前と後で規制を分けます。

この開発区域については、基本的な考え方は非常に簡単です。

工事完了公告前というのは、まだ土地の造成工事中ということですから、原則として建築物を建築することはできません。

それに対して工事完了公告後は、土地の造成は終わっているわけですから、建築物を建築していいわけですが、建築してよい建築物は予定建築物に限ります。予定建築物を建てるということで、開発許可をもらったわけですから、それ以外の建築物を建ててもらっては困ります。そこで、表現としては「原則として予定建築物以外の建築物は建築できない」ということになります。

ただ、以上の原則に対して例外も結構あります。そこで、以下で詳しく見ていきましょう。

3.例外~工事用の仮設建築物等(第1号)

例外の一つ目は、工事用の仮設建築物です。

これは理解しやすい。土地の造成工事をしているわけですから、その造成工事に必要な建築物は建築できます。

4.都道府県知事の許可(第1号)

同じく第1号の規定の中に含まれていますが、都道府県知事が許可したときです。この「都道府県知事の許可」があったというのは、ここだけでなく随所に出てくるものです。知事が許可している以上問題はありません。

5.開発行為に同意していない者が建築する場合(第2号)

最後ですが、開発許可のところで勉強しましたが、土地の権利者のすべてが同意していなくても開発許可をもらうことができます。そして、開発行為に同意していない者は、自分の土地ですから、自分の権利行使として建築物を建築することができます。それがこの規定です。

ところで、こういう問題があった場合はどうでしょうか?「開発許可を得た者は、知事の許可がなければ仮設建築物以外の建築物を建築することはできない」という文章は、「○」か「×」か?

これは「×」になりそうなんですが、「○」です。

これを「×」と考えた人は、他に「開発行為に同意していない者が建築物を建築できる」と考えたと思います。

しかし、先ほどの文章をもう一度よく見て下さい。問題文の主語は、「開発許可を得た者」となっています。

つまり、「開発行為に同意していない者」というのは、この問題では関係ありません。

したがって、この「開発行為に同意していない者」という例外を考慮する必要はないからです。これは、なかなか難しいというか、騙されてしまう問題です。