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都市計画法33条(開発許可の基準)

【解説】

1.開発許可基準(一般的基準)

開発許可の申請がなされますと、それを受け取った都道府県知事は、申請のあった開発行為を許可するか、不許可にするのかについて判断しないといけません。

この許可か不許可かの判断の基準となるのが「開発許可の基準」です。

開発許可の基準について気を付けて欲しいのは、開発許可の基準というのは、開発許可が必要なことを前提に、許可を与えるか与えないのかの基準だということです。

つまり、開発許可の基準を満たす場合は「許可しなければならない」のであり、「許可は不要である」というわけではありません。

また、この許可基準については、一定の基準を満たせば許可を「しなければならない」という点がポイントです。

そして、この開発許可基準は2つあります。33条の一般的基準と34条の特別基準があります。

33条の一般的基準は、すべてに共通の基準ですが、34条の特別基準は、「特別」というくらいですから、市街化調整区域だけに適用されるものです。

つまり、市街化調整区域は、33条を満たした上で、34条も満たさないといけない。つまり、2つクリアする基準があるわけです。市街化調整区域というのは、基本として建物は建てられないはずですから、建物を建てるにしても、そのときの土地の開発の基準はうるさくて、もう一つ余分な基準が出てくるわけです。

この33条の一般的基準は、公共施設の整った良好な市街地という観点から見ていけばそれなりに納得できるものでしょう。

2.道路、公園、広場その他の公共の用に供する空地(第1項2号)

この基準は、「自己居住用の住宅」の開発行為には適用されません。

道路とか公園は、何区画に分譲したり、大規模に開発するときは必要でしょうが、自己居住用住宅では不要でしょう。

3.排水路その他の排水施設(第1項3号)

この基準は、「自己居住用の住宅」の開発行為にも適用されます。

4.水道その他の給水施設(第1項4号)

この基準は、「自己居住用の住宅」の開発行為には適用されません。

この3号「排水施設」と4号「給水施設」は、「自己居住用住宅」に適用があるかどうかで差が分かれます。自己居住用住宅においても、排水施設は考慮する必要があるのに対して、給水施設は考慮不要だということです。

似たようなものなのに違いがあります。何となく分かると思いますが、排水というのは、自分だけの問題ではなくて、近所にも迷惑をかけます。それに対して、給水施設は、それがなければ自分が困るだけなので、困らないように自分で考えて下さい、ということですね。開発許可基準としては、考慮しない。

5.予定建築物等の用途又は開発行為の設計が地区計画等に適合(第1項5号)

このように、開発許可をするには、開発行為等が地区計画に適合している必要があるので、地区計画の区域における市町村長への建築等の届出の例外として「開発許可を要する行為」は届出が不要になります。

[参照条文]
(建築等の届出等)
第58条の2 地区計画の区域(再開発等促進区若しくは開発整備促進区又は地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築その他政令で定める行為を行おうとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一~四 省略
五  第29条第1項の許可を要する行為その他政令で定める行為

6.申請者の資力及び信用(第1項12号)

この基準は、「自己居住用住宅」には適用されませんが、それはこの基準は大規模な開発のときに問題にすればいいのであって、自己居住用住宅程度では大丈夫だろう、という意味だと思われます。

7.工事施行者の工事完成能力(第1項13号)

この基準は、「自己居住用住宅」には適用されませんが、それはこの基準は大規模な開発のときに問題にすればいいのであって、自己居住用住宅程度では大丈夫だろう、という意味だと思われます。

8.土地の権利者の相当数の同意(第1項14号)

開発許可基準として、この「土地の権利者の相当数の同意」というのが必要なので、申請者としては、開発許可申請の前にこの「土地の権利者の相当数の同意」というのを得ておく必要があります。

「全員」の同意までは不要であることに注意して下さい。