都市計画法12条の2(市街地開発事業等予定区域)
【解説】
本条は、市街地開発事業等予定区域についての規定ですが、市街地開発事業等予定区域とは、市街地開発事業又は都市施設に関する都市計画を行う前に、その予定区域を定めるものです。
もともと市街地開発事業等を行うためには、事業の種類、施行区域等の基本構想が定まるだけではなく、公共施設の配置等、宅地の利用計画、住宅等の建築物の配置方針等かなりの詳細計画が定まらなければ、都市計画決定することができません。
ところが、このような詳細の計画を定めるためには時間がかかるので、その間に事業の障害となる乱開発や、市街地開発事業が行われると土地の価格が上昇するため、それを見込んだ投機的土地取引の進行を防止することはできません。
そこで、事業の種類、名称、施行予定者、区域等の基本的事項が明らかになった段階において予定区域としての都市計画を定めることができるようにしました。
そして、この市街地開発事業等予定区域に関する都市計画が定められると、その告示の日から起算して3年以内に、当該市街地開発事業等予定区域に係る市街地開発事業又は都市施設に関する都市計画を定めなければならないことになっています(第4項)。さらに、その市街地開発事業等の告示の日から起算して2年以内に、市街地開発事業等について事業の認可又は承認の申請をしなければならないことになっています(第60条の2)。
市街地開発事業等予定区域の告示
↓3年以内
市街地開発事業等の告示
↓2年以内
事業の認可・承認
このように、市街地開発事業等予定区域の告示からトータル5年以内に事業の認可又は承認を申請する義務を課し、現状維持的な都市計画制限(第52条の2)と買取請求権の付与(第52条の3)によって大規模な開発事業の数少ない適地をできるだけ早い段階から確保しようとしているわけです。
したがって、市街地開発事業等予定区域を指定する区域としては適切なのは、大規模な開発の適地で、放置すれば乱開発等により計画的な開発に支障を生ずるおそれがあるような状況にある土地ということになります。
このように市街地開発事業等予定区域は、大規模な宅地開発が予定され、しかも、それが極めて近い将来に着手されることから、市街化を抑制すべき区域とされる市街化調整区域においては、この市街地開発事業等予定区域を定めることは一般的には考えにくいことになります。そこで、「市街地開発事業等予定区域は、市街地開発事業に係るものにあっては市街化区域又は区域区分が定められていない都市計画区域内」において定められることになります(第13条1項13号)。
もし、市街化調整区域において、計画的見通しのある大規模な住宅適地等があり、その早い時期における保全が必要というのであれば、その地域を市街化区域に編入した上で、市街地開発事業等予定区域を定めることになります。