都市計画法4条(定義)
【解説】
1.開発行為とは
この開発行為というのは、都市計画法の規制としては、非常に重要なものです。
それでは、「開発行為」とは何でしょうか。第4条12項に定義規定があります。
「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をいう。」ということになります。
要するに、開発行為というのは、簡単に言うと土地の造成工事のことです。「土地の区画形質の変更」というのが造成工事の意味です。この土地の造成工事は勝手にできない。知事の許可がいります(29条)。
なぜかというと、乱開発を防止するためです。乱開発がなぜいけないかというと、宅地を造成するからには、公共施設の整ったちゃんとした土地として開発しないといけないからです。乱開発を認めると、公共施設の整わない劣悪な宅地が増えてしまいます。道路も整えないといけないし、上下水道も整備しておかないといけません。したがって、土地の造成工事の前に、このような宅地としての機能をしっかり備えた造成工事かどうかをチェックするために知事の許可が必要となるわけです。
ただ、単なる土地の造成というだけでは開発行為に該当せず、あくまで「建築物の建築又は特定工作物の建設」の目的で行う造成工事だけが開発行為に該当し、開発許可(知事の許可)が必要になるわけです。
上図を見てもらえば分かりますが、建物を建てる目的で(現在は建っていない)、「土地」の造成を行うのが開発行為です。このように建物を建てる目的で土地を造成するときに開発許可が必要となりますが、土地の造成完了後は建物を建てることになります。
したがって、開発行為の学習内容として、土地の造成時の問題とともに、後の建築物の建築の制限についても問題になります。
開発行為の内容は大雑把には前述の通りですが、ここではもっと正確に見ていきましょう。ここで問題になるのは、「建築物の建築又は特定工作物の建設」という部分です。このうち「建築物の建築」というのはほとんど問題ありません。問題は「特定工作物」とは何かということです。
上図を見てもらえば分かりますが、特定工作物は第一種特定工作物と第二種特定工作物に分かれます。
[参照条文]都市計画法施行令第1条(特定工作物)
第一条 都市計画法(以下「法」という。)第四条第十一項の周辺の地域の環境の悪化をもたらすおそれがある工作物で政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 アスファルトプラント
二 クラッシャープラント
三 危険物(建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百十六条第一項の表の危険物品の種類の欄に掲げる危険物をいう。)の貯蔵又は処理に供する工作物(石油パイプライン事業法(昭和四十七年法律第百五号)第五条第二項第二号に規定する事業用施設に該当するもの、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第五項第八号に規定する保管施設又は同項第八号の二に規定する船舶役務用施設に該当するもの、漁港漁場整備法(昭和二十五年法律第百三十七号)第三条第二号ホに規定する補給施設に該当するもの、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)による公共の用に供する飛行場に建設される航空機給油施設に該当するもの、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第一項第九号に規定する電気事業(同項第七号に規定する特定規模電気事業を除く。)の用に供する同項第十六号に規定する電気工作物に該当するもの及びガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)第二条第十三項に規定するガス工作物(同条第一項に規定する一般ガス事業又は同条第三項に規定する簡易ガス事業の用に供するものに限る。)に該当するものを除く。)
2 法第四条第十一項の大規模な工作物で政令で定めるものは、次に掲げるもので、その規模が一ヘクタール以上のものとする。
一 野球場、庭球場、陸上競技場、遊園地、動物園その他の運動・レジャー施設である工作物(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(大学を除く。)の施設に該当するもの、港湾法第二条第五項第九号の三に規定する港湾環境整備施設に該当するもの、都市公園法(昭和三十一年法律第七十九号)第二条第一項に規定する都市公園に該当するもの及び自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)第二条第六号に規定する公園事業又は同条第四号に規定する都道府県立自然公園のこれに相当する事業により建設される施設に該当するものを除く。)
二 墓園
第一種特定工作物は、「周辺の地域の環境の悪化をもたらすおそれがある工作物」をいいます。具体例は、コンクリートプラント、アスファルトプラント、クラッシャープラント、危険物の貯蔵又は処理に供する工作物などです。
プラントというのは工場のことですから、コンクリートプラント・アスファルトプラントというのは、コンクリートやアスファルトを作る工場。
クラッシャープラントというのは岩を砕くもの。危険物の貯蔵又は処理に供する工作物は、ガスや石油等の貯蔵所のことです。
次に、第二種特定工作物は「大規模な工作物」です。
これは条文を正確に読んで下さい。
都市計画法4条11項を見ますと、第二種特定工作物とは「ゴルフコース」+「その他大規模な工作物で政令で定めるもの」となっています。
そして、「その他大規模な工作物で政令で定めるもの」というのは、都市計画法施行令1条2項で「次に掲げるもの(野球場等)で、その規模が1ヘクタール以上のもの」となっています。
つまり、「1ha以上」というのは「野球場等」にしかかかっていません。つまり、ゴルフコースは規模を問わないということです。つまり、1ha未満のゴルフコースも第二種特定工作物に該当します。
このゴルフコースというのは、要注意です。
ちなみに、1ha=10,000㎡です。ここは試験等では、事例問題で、~㎡の野球場のような形で出題されますので、これを忘れているようでは困ることがあります。
最後にもう一度確認ですが、そもそもこの特定工作物に該当しない場合は、そのための土地の区画形質の変更は「開発行為」に該当しませんので、「開発許可」は不要となります。