建替え円滑化法73条(担保権等の移行)
第73条 施行マンションの区分所有権又は敷地利用権について存する担保権等の登記に係る権利は、権利変換期日以後は、権利変換計画の定めるところに従い、施行再建マンションの区分所有権又は敷地利用権の上に存するものとする。
【解説】
本条は担保権等の移行についての規定ですが、施行マンションの区分所有権又は敷地利用権について存する担保権等の登記に係る権利は、権利変換期日以後は、施行再建マンションの区分所有権又は敷地利用権の上に存するものとされています。
ただ、権利変換期日においては、施行再建マンションはまだ建築されていないので、施行マンションの区分所有権等に対して担保権等を有している者は、権利の移行がなされたとしても、その登記を行うことはできません。そこで、この移行の登記は、施行者が、敷地については、権利変換期日後遅滞なく申請し(第74条1項)、区分所有権については、施行再建マンションの建築工事が完了後遅滞なく申請することになります(第82条1項)。
マンションの建替えにおいては、施行マンションは消滅し、施行再建マンションが新たに建築され、それに伴い担保権等の登記も新たに設定されることになるため、担保権等の移行の登記については、従来の登記を移記するのではなく、新たな設定の登記として処理されます。しかし、従来の施行マンションに設定された担保権等が権利変換に伴い移行されるものですから、その経緯が分かるように、「担保権等登記においては、登記原因及びその日付として、権利変換前の担保権等の登記の登記原因及びその日付並びに法による権利変換があった旨及びその日付」が登記事項とされています(円滑化法登記令8条1項)。
また、施行マンションの区分所有権に複数の担保権等が設定されている場合は、施行再建マンションにおいてもその権利相互間の順位が従前どおりの順位で登記されるように注意する必要があります。