建替え円滑化法64条(権利変換計画に関する総会の議決に賛成しなかった組合員に対する売渡し請求等)

第64条 組合において、権利変換計画について総会の議決があったときは、組合は、当該議決があった日から2月以内に、当該議決に賛成しなかった組合員に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。

2 区分所有法第63条第6項及び第7項(区分所有法第70条第4項においてこれらの規定を準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定は、前項の規定による請求について準用する。この場合において、区分所有法第63条第6項中「第4項」とあるのは、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律第64条第1項」と読み替えるものとする。

3 組合において、権利変換計画について総会の議決があったときは、当該議決に賛成しなかった組合員は、当該議決があった日から2月以内に、組合に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で買い取るべきことを請求することができる。

【解説】

本条は、権利変換計画に関する総会の議決に賛成しなかった組合員に対する売渡し請求等を認めているが、そもそも区分所有法において、建替え決議に賛成せず、建替えに参加する旨を回答しなかった区分所有者に対して区分所有権の売渡し請求権を規定している(区分所有法63条4項)。そして、「建替え決議に賛成した各区分所有者、建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者及び区分所有権又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者(これらの者の承継人を含む。)」を建替えに合意したものとみなして、本法で、これらの建替え合意者をすべて建替組合の組合員とし、参加組合員を加えて建替組合を構成しています。

さらに、区分所有法上の売渡し請求とは別に、本法においても売渡請求権を規定し(第15条)、建替えに参加する者だけで建替事業を円滑に実施できるようにしています。

しかし、このように建替事業を進めてきても、権利変換計画によって具体的に取得できる施行再建マンションの内容等が決まる段階になって、その権利変換計画に賛成できない区分所有者も出てきます。

そこで、権利変換計画について総会の議決があったときに、当該議決があった日から2月以内に、当該議決に賛成しなかった組合員に対し、組合が区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができるようにしています(第1項)。また、逆に当該議決に賛成しなかった組合員の方から、総会決議の日から2月以内に、組合に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で買い取るべきことを請求することもできるようにしています(第3項)。

このように3段階の売渡請求権の制度を設けることによって、円滑に建替事業を進めることができるようにしています。

なお、本条第2項で、区分所有法63条6項及び7項の「再売渡し請求」の規定が準用されているので、建替え決議の日から2年以内に、正当な理由なく建物の取壊しの工事に着手しない場合には、売渡し請求の行使により区分所有権等を売り渡した者は、この期間の満了の日から6月以内に、買主が支払った代金に相当する金銭をその区分所有権等を現在有する者に提供して、買い戻すことができます。