建替え円滑化法15条(区分所有権及び敷地利用権の売渡し請求)
第15条 組合は、前条第1項の公告の日(その日が区分所有法第63条第2項(区分所有法第70条第4項において準用する場合を含む。)の期間の満了の日前であるときは、当該期間の満了の日)から2月以内に、区分所有法第63条第4項(区分所有法第70条第4項において準用する場合を含む。)に規定する建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含み、その後に建替え合意者等となったものを除く。)に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。建替え決議等があった後に当該区分所有者から敷地利用権のみを取得した者(その承継人を含み、その後に建替え合意者等となったものを除く。)の敷地利用権についても、同様とする。
2 前項の規定による請求は、建替え決議等の日から1年以内にしなければならない。ただし、この期間内に請求することができなかったことに正当な理由があるときは、この限りでない。
3 区分所有法第63条第5項から第7項まで(区分所有法第70条第4項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定は、第1項の規定による請求があった場合について準用する。この場合において、区分所有法第63条第6項中「第4項」とあるのは、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律第15条第1項」と読み替えるものとする。
【解説】
1.売渡し請求
本条は、建替えに参加しない区分所有者等に対する売渡し請求について規定されていますが、そもそも区分所有法にも売渡し請求権が規定されています。それにもかかわらず本法で売渡し請求を規定する意味が分かりにくいと思いますが、建替えに参加しない者全員に対して売渡し請求をしなければ建替え決議の効果を覆すという制度は取られていないので、建替え不参加者が残っている状態でも建替えを進めることが可能です。
しかし、建替え不参加者が残っている状態では、建替え不参加者の同意も得ながら建替えを進める必要があるので、円滑な建替えの実現は困難になります。そこで、本法に再度売渡し請求を認める意味があります。
なお、売渡し請求権を行使するには、代金を調達する必要がありますが、その方法として組合が参加組合員であるデベロッパーの保証のもとに金融機関から資金を借り入れる方法や、組合が特定の組合員の保証のもとに金融機関から資金を借り入れる方法が考えられます。
2.売渡請求権の行使者、相手方
本条では、区分所有者や買受指定者からの売渡し請求以外に、組合自身が売渡し請求権を行使することを認めています。
売渡し請求権の相手方は、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者ですが、その承継人を含みます。ただ、その後に建替え合意者等となった者に対しては売渡し請求をする意味がないので、除かれます。
なお、敷地利用権について規約で例外的に分離処分を認められているので(区分所有法22条1項但書)、建替え決議等があった後に当該区分所有者から敷地利用権のみを取得した者が生じる可能性があるので、これらの者に対しても売渡し請求が認められます。
3.売渡し請求権の行使期間等
売渡し請求権の行使期間は、組合の認可の公告の日から2月以内ですが、さらに建替え決議等の日から1年以内にする必要があります。ただし、この期間内に請求することができなかったことに正当な理由があるときは、この期間を超えても大丈夫です。
その他、区分所有法63条第5項から第7項まで(建物明渡しの期限の許与、再売渡し請求)の規定が準用されています。