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宅建業法76条(免許の取消し等に伴う取引の結了)

【解説】

宅地建物取引業を行おうとする者は、宅地建物取引業の免許が必要となります。

ただ、例外的に宅地建物取引業の免許がなくても、宅地建物取引業者に該当し、宅地建物取引業を行うことができる場合があります。

その一つが本条です。

「免許の有効期間が満了したとき、免許が効力を失ったとき、免許を取り消されたとき等」は宅地建物取引業の免許は効力がなくなりますが、宅地建物取引業を行っていたときの取引をそのままにしておいたのでは無責任です。

したがって、宅地建物取引業者時代に締結した「取引を結了する目的の範囲内」においては、宅地建物取引業者とみなされ、宅地建物取引業を行ってもかまいません。

本条では、「第3条第2項の有効期間が満了したとき、第11条第2項の規定により免許が効力を失ったとき、又は宅地建物取引業者が第11条第1項第1号若しくは第2号に該当したとき、若しくは第25条第7項、第66条若しくは第67条第1項の規定により免許を取り消されたとき」というふうに、いろいろ書かれていますが、要するに「どのような理由で免許の効力が失われても」と考えてもらって結構です。

「取引を結了する目的の範囲内」というのは、具体的には、免許が効力を失う前に締結していた売買等の契約に基づく代金の支払い、引渡し等の債務を履行することなどが上げられます。

したがって、免許の効力が失われた後に、これらの行為を行っても無免許事業の禁止の規定(12条)に違反しません。

ただ注意して欲しいのは、「取引を結了する目的の範囲内」を超えて、新規に取引などをすることはできません。