宅建業法70条(監督処分の公告等)
【解説】
1.宅地建物取引業者に対する監督処分の公告(第1項)
この規定は、宅地建物取引業者に対して監督処分がなされた場合に「公告」がなされるというものです。
なぜ、監督処分に対して公告がなされるかというと、その宅地建物取引業者に対して行政庁が監督処分をしたということを一般の人に知らせることによって、取引の関係者に「監督処分がなされた業者なんだ」ということを知らせて保護するということと、宅地建物取引業者に対して不正行為等を行うと監督処分がなされ、それが公告され、社会的信用に打撃が加えられることを予告することによって、不正行為等を予防しようという趣旨です。
条文の内容はそんなに難しいものではないと思いますが、ただ注意点があります。
第1項の公告が必要な場合の引用条文を見て下さい。
第65条第2項・第4項…宅地建物取引業者に対する業務停止処分
第66条…宅地建物取引業者に対する免許取消処分
第67条の2第1項・第2項…宅地建物取引業者の取引一任代理の認可の取消し
ポイントは2点あります。
まず、宅地建物取引業者に対する監督処分でも、「指示処分」については公告の必要がないという点です。
次に、宅地建物取引士に対する監督処分については、公告が不要だという点です。
2.免許権者への報告・通知(第3項)
本項は、「第65条第3項又は第4項の規定による処分をしたとき」となっていることから分かりますように、免許権者以外の者が宅地建物取引業者に対して指示処分又は業務停止処分を行った場合の規定です。 →第65条参照
この場合、当該処分をした都道府県知事は、遅滞なく、その旨を、免許権者である国土交通大臣に報告し、あるいは免許権者である都道府県知事に通知しなければならない旨を規定しています。
指示処分及び業務停止処分は、免許権者だけでなく、宅地建物取引業者が業務を行った都道府県の知事も行うことができるので、その免許権者への報告又は通知を義務付け、関係監督機関相互の連絡調整を図る目的で置かれています。
3.登録権者への通知(第4項)
本項は、「第68条第3項又は第4項の規定による処分をしたとき」ということから分かりますように、登録をした都道府県知事以外の知事が、宅地建物取引士に対する指示処分又は事務禁止処分を行った場合の規定です。 →第68条参照
この場合、処分を行った知事は、遅滞なく、その旨を当該宅地建物取引士の登録をしている都道府県知事に通知しなければならない旨を規定しています。
これも第3項と同様、関係監督機関相互の連絡調整を図る規定です。