※この記事は一般的な条文解説で、宅建等の資格試験の範囲を超えた内容も含みます。当サイトの記事が読みやすいと感じた方は、当サイトと資格試験向け教材の関係をご覧下さい。

宅建業法64条の12(弁済業務保証金準備金)

【解説】

1.弁済業務保証金準備金

弁済業務保証金は、営業保証金より金額が小さいにもかかわらず、営業保証金の金額を基準に還付がなされます。

しかし、還付がなされた場合は、当該宅地建物取引業者から還付充当金という形で回収するので、うまくいくということでした。

理屈の上ではそうですが、宅地建物取引業者が還付充当金を支払ってくれない場合もあります。

そのときは、宅地建物取引業者は社員の地位を失いますが、社員の地位を喪失させたからといって、還付充当金を支払ってくれるとは限りません。そのような宅地建物取引業者がいくつか現れると、弁済業務保証金に不足をきたす恐れがあります。そのようなときに備えて、弁済業務保証金準備金を積み立てます。

2.特別弁済業務保証金分担金

還付充当金を支払ってくれない場合に備えて、弁済業務保証金準備金を積み立てますが、弁済業務保証金と営業保証金の金額にはかなりの開きがあります。弁済業務保証金準備金でも足りない場合が当然あり得るわけです。

そのようなときに備えて、特別弁済業務保証金分担金というのがあります。要するに、追加の分担金の納付を求めるわけです。

この特別弁済業務保証金分担金の通知を受けた社員は、それに応じてこれを納付しないといけませんが、「通知を受けた社員は、その通知を受けた日から1月以内に、その通知された額の特別弁済業務保証金分担金を当該宅地建物取引業保証協会に納付しなければならない。」

ここは、「1ヶ月」以内に納付するという点がポイントです。この特別弁済業務保証金分担金を支払わない社員も、社員の地位を失います。

この特別弁済業務保証金分担金という制度があるので、営業保証金と弁済業務保証金の差額については、最終的に問題が生じることはなくなるはずです。

つまり、特別弁済業務保証金分担金という形で追加の分担金の納付を求めて、「営業保証金=主たる事務所1,000万円+その他の事務所ごと500万円」まで分担金の納付を求めれば問題はなくなるはずです。