宅建業法64条の11(弁済業務保証金の取戻し等)
【解説】
営業保証金のところで、宅地建物取引業者を止めるような場合は、営業保証金を取り戻せるという話をしましたが、同様に、宅地建物取引業者が保証協会の社員の地位を失ったときなどは、弁済業務保証金を取り戻すことができます。
つまり、社員の地位を失ったときは、保証協会は、弁済業務保証金の全額を、事務所の一部廃止の場合は、超過額分の弁済業務保証金を供託所から取り戻します。
そして、保証協会は、弁済業務保証金を取りもどしたときは、当該社員であった者又は社員に対し、その取りもどした額に相当する額の弁済業務保証金分担金を返還します。
最初に、宅地建物取引業者→保証協会→供託所という流れで、弁済業務保証金を供託しましたが、今度はその逆の流れになります。
つまり、供託所→保証協会→宅地建物取引業者と逆流してくるわけです。
この分担金を返還するには、営業保証金の場合と同様に、公告というものが必要になってきます。
ただ、ここで注意してもらいたいのは、第4項を注意深く読んでもらえば分かりますが、第4項では「社員の地位を失ったとき」には、公告をしなければならないと書かれています。
逆に言うと、それしか書いていません。それでは、事務所の一部廃止の場合の超過額の返還のときはどうなんだということです。
これは、公告が必要という条文がない以上、公告は不要となります。
ところで、営業保証金の場合の事務所の一部廃止の場合には、公告は必要だったかどうか覚えていますか?これは、必要でした。
要するに、事務所の一部廃止の場合の取戻しには、営業保証金は公告が必要ですが、弁済業務保証金分担金では公告は不要です。
これは、理由がよく分かりません。もう覚えるしかありません。気を付けて下さい。
また、この公告は保証協会が行うという点も確認しておいて下さい。
このように社員がその地位を失った場合は、公告が必要になりますが、保証協会が社員であった者に対して弁済業務保証金分担金を返還するのは、6ヶ月の期間が経過した後に、還付請求権者に対する弁済や、保証協会に対する還付充当金の弁済が完了した後に保証協会から社員であった者に対して分担金を返還します。