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宅建業法64条の10(還付充当金の納付等)

【解説】

宅地建物取引業者に対して債権を有する者が、還付を行いますと、弁済業務保証金として供託した金額に不足が生じることになりますので、保証協会はその不足額を供託所に供託しなければいけません。それを規定したのが第64条の8第3項になります。

本条はそれを受けて、不足額を供託した保証協会が、宅地建物取引業者に対してその分の納付を請求することができる旨を規定しています。これを還付充当金の納付といいます。

具体的には、保証協会は、還付の実行により弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付に係る社員又は社員であった者に対し、当該還付額に相当する額の還付充当金を宅地建物取引業保証協会に納付すべきことを通知します。

そして、この通知を受けた社員又は社員であった者は、その通知を受けた日から2週間以内に、その通知された額の還付充当金を当該宅地建物取引業保証協会に納付しなければならないことになります。

さらに、宅地建物取引業保証協会の社員は、この規定する期間内に還付充当金を納付しないときは、社員の地位を失うことになります。

この還付充当金の納付は、2つの条文にまたがった規定なので、その一連の流れをまとめてみましょう。

権利の実行(還付)
  ↓
供託所は国土交通大臣へ通知(保証金規則3条)
  ↓
国土交通大臣は保証協会へ通知(保証金規則4条)
  ↓
保証協会は2週間以内に弁済業務保証金を供託(宅建業法64条の8第3項)
  ↓
保証協会は社員に通知(宅建業法64条の10第1項)
  ↓
社員は2週間以内に保証協会に還付充当金を納付(宅建業法64条の10第2項)

さらに図解しておきますと、以下のようになります。保証協会が弁済業務保証金を供託所に供託するのが先であるということに注意して下さい。