宅建業法64条の2(宅地建物取引業保証協会の指定)
【解説】
1.宅地建物取引業保証協会とは
以前に営業保証金の説明をしましたが、営業保証金は最低でも1,000万円、後は支店が一つ増えるごとに500万円ずつ増えていきます。この金額は大きいです。
この営業保証金の制度は、昭和32年の改正により設けられたようですが、その後の取引価格の増額に伴い営業保証金の額も増額されました。
業者としては、供託所に供託しておくということは、その資金は凍結されていて使えません。普通、商売をしていると、1円でも多く運転資金が欲しくなるものです。特に、個人で宅地建物取引業を始めた人には、1,000万円は非常に重い金額だと思います。そこで、何とかもっと安く宅地建物取引業を行えないものだろうか、ということであるのが「弁済業務保証金」という制度です。
この弁済業務保証金の制度は、別に詳しく説明していますが、要するに集団保証による消費者の保護と業者の負担の軽減を図ることを目的としている制度です。
具体的な金額は、主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円の割合による金額の合計額とする。」ということになります。1,000万円、500万円が一気に、60万円、30万円に下がります。
これは結構な制度です。この弁済業務保証金の制度を行っているのが、宅地建物取引業保証協会(以下、「保証協会」という。)というところです。この保証協会は、他にもいろいろと業務を行っていますので、この保証協会についてこれから説明していくことになります。
2.保証協会の指定の要件
保証協会というのは誰でもなれるわけではありません。保証協会に指定されるためには要件があります。
① 申請者が一般社団法人であること。
一般社団法人というのは、民法で設立が認められているもので公益目的の団体です。
② 申請者が宅地建物取引業者のみを社員とするものであること。
保証協会で「社員」というのは、簡単にいうと保証協会のメンバーということですが、保証協会は宅地建物取引業者のみを社員としなければいけません。
①と②から、保証協会は、宅地建物取引業者のみを構成員とする公益団体だということです。いわば業界団体です。
③ 申請者が保証協会の指定を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者でないこと。
④ 申請者の役員のうちに次のいずれかに該当する者がないこと。
イ 第5条第1項第1号から第4号までのいずれかに該当する者
ロ 指定を受けた者(以下この章において「宅地建物取引業保証協会」という。)が保証協会の指定を取り消された場合において、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前60日以内にその役員であつた者で当該取消しの日から5年を経過しないもの
本号のイの第5条というのは、宅地建物取引業者の免許の基準のことです。