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宅建業法42条(宅地又は建物の割賦販売の契約の解除等の制限)

【解説】

この規定は、宅地建物取引業者が自ら売主で、しかも割賦販売の場合の規制になります。

割賦販売ということは、代金の支払いが分割ということですので、その支払いに関しての規制になります。

この条文のポイントは、催告の「30日」という点と、「書面」という点ですので、この2点をしっかり覚えて下さい。

詳しく説明しますと、まず、この条文の中に「賦払金」というのが出てきますが、これは前に説明したと思います。分割払いの際の、1回1回の支払金のことです。

普通、このように代金を分割で支払う場合の賦払金の支払が遅れた場合は、民法で勉強した債務不履行のうちの履行遅滞になります。民法のときに説明しましたが、このような履行遅滞の場合は、賦払金の支払がないからといって、すぐに契約を解除することはできませんでした。履行遅滞の場合は、相当の期間を定めて催告し、それでも支払いがない場合にはじめて解除できました。

そして、ここでいう「相当の期間」というのは、金銭債務の場合は、通常は2~3日で、しかも催告については特にその形式は問われていないので、口頭でもかまいません。

しかし、それを不動産の売買にまで、そのまま当てはめるのは問題だということです。

不動産の場合は、金額も大きいので、分割払いで、途中までかなりの金額を支払っている場合も多くあります。

したがって、それまでの苦労が2~3日で水の泡になるのは、買主に気の毒だということです。そこで、30日以上は待ってあげて、しかも書面で催告した後でないと解除できないとしたのがこの規定です。

なお、ここで契約を解除し、又は支払時期の到来していない賦払金の支払を請求することが「できない」という意味は、30日以上の相当期間をおかず、あるいは口頭でのみ催告を行って解除したとしても、解除等の効果は発生しないという意味です。

そして、当然ですが、この規定に反する特約は、無効となります。

したがって、その契約の中で、賦払金の支払時期に支払がなければ当然解除になるとするいわゆる失権約款、催告なしにすぐに解除ができるとする催告不要の特約、20日間の催告期間をおけば解除等が可能である旨の特約はすべて無効になります。

最後に、これも「自ら売主の制限」ですから、売主が宅地建物取引業者、買主が宅地建物取引業者でないということも確認しておいて下さい。