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宅建業法31条(宅地建物取引業者の業務処理の原則)

【解説】

この規定は、宅地建物取引業法の「第5章 業務」の「第1節 通則」の冒頭に置かれている条文で、宅地建物取引業者が業務を行う上での一番の原則を規定したものです。

宅地建物というのは、非常に高価な財産であり、住宅などですと、一生に一度の買い物という人も多くなります。

このような財産を扱う宅地建物取引業者は、信義誠実に業務を行うことが特に強く要請されるからです。

そして、この信義誠実の原則は、単に一般私法上のもの(つまり一般的に取引に要求されるもの)にとどまらず、宅地建物取引の専門家としての高度の注意義務を前提としているものです。

単に一般私法上のものは民法に規定されています(民法1条2項)。それにとどまらないという意味です。

ただ、この規定は条文の言葉からも分かるように、あくまでも訓示的なもので、この規定に違反しても、直接業務停止や免許取消の処分を受けることはなく、また刑罰を科せられることもありません。