宅建業法29条(営業保証金の保管替え等)
【解説】
1.営業保証金の保管替え等
営業保証金は、主たる事務所のもよりの供託所に全部まとめて供託するという話をしました。ということは、主たる事務所が移転して、もよりの供託所が変われば、移転後の主たる事務所のもよりの供託所に営業保証金を移さないといけません。それが、「営業保証金の保管替え等」です。
これは、頭の中を、営業保証金を「金銭のみ」で供託している場合と、それ以外(金銭と有価証券、あるいは有価証券のみで供託)の場合に分けて考える必要があります。
2.営業保証金を金銭のみで供託
まず、営業保証金を金銭のみで供託している場合は、「遅滞なく、費用を予納して、営業保証金を供託している供託所に対し、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求」しなければいけません。
ポイントは、保管替えの請求先は、現在営業保証金を供託している供託所です。移転前のもよりの供託所ですね。移転先のもよりの供託所ではありません。
この保管替えの請求をすると供託所の方で移転先の供託所へ保管を移してくれます。
3.有価証券のみ、または金銭と有価証券で営業保証金を供託
次に、有価証券のみ、または金銭と有価証券で営業保証金を供託している場合(つまり有価証券がからむ場合)は、「遅滞なく、営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならない。」ということになります。
ここのポイントは、移転後のもよりの供託所に「新たに」供託するという点です。つまり、前の供託所に営業保証金を供託したままの状態で、移転後のもよりの供託所に供託しますので、一時的に二重供託の状態になります。
そして、いったん二重供託の状態になった後に、移転前の供託所の営業保証金を「直ちに」取り戻す形になります。
4.営業保証金の変換の届出
ここで、ちょっと特殊な制度として、営業保証金の「変換」の制度について説明しましょう。
この「変換」とは、簡単に言えば「差し替え」ということです。有価証券で営業保証金を供託している場合に、その現在供託している有価証券を別の有価証券と「差し替える」ことです。
ここは、「変換」を行った場合は、「免許権者への届出」が必要という点を押さえておいて下さい。