宅建業法22条の4(宅地建物取引士証の提示)
【解説】
いろいろと宅地建物取引士証について説明してきましたが、この宅地建物取引士証というのは何のためにあるのかといえば、必要なときに人に見せる(提示する)ことによって、自分は宅地建物取引士であるということを示すためです。
それでは、どのような場合に、この宅地建物取引士証の提示義務があるかですが、以下の2つの場合です。
1.重要事項の説明を行うとき
2.取引の関係者から請求があったとき
この2つはしっかり覚えておいて下さい。
1.は重要事項の説明のときに、再度説明します。
2.についてですが、本条の定めはこの場合についてです。これは具体的に何時という決まりはないので、取引の関係者から請求があったときの一般的な提示義務です。
今、この宅地建物取引士証の提示義務がある2つの場合を説明したところなので、これに関連してココで覚えておけば、非常に役立つ知識を説明しておきましょう。
それは、1.の重要事項の説明の際の提示義務に違反した場合には、宅地建物取引士は10万円以下の過料に処せられるが、2.の取引の関係者から請求があった場合の提示義務に違反しても罰則の適用はないという点です。
なぜこのような違いがあるかについてですが、あくまで私の個人的な見解ですが、取引の相手方から宅地建物取引士証の提示を求められた場合の提示義務違反には罰則がないのは、これは宅地建物取引士が宅地建物取引士証を携帯していない場合も考えられるからではないかと思われます。
重要事項の説明のときは、宅地建物取引士証の提示が必ず求められているので、それを携帯せずに重要事項の説明をするのは罰則の対象となるのに対し、取引の相手方からの提示要求はいつ要求されるかわからないので、罰則まで課せられるのは酷だと考えられます。
ただ、従業者証明書も取引の相手方からの提示要求に応じられなかったときも、罰則がありませんが、従業者証明書の方は業務に携わっているときの、携帯の要求は強いと思われますが、このときでも罰則の適用はありません。これらの中でも、資格者が要求されているのは、重要事項の説明だけなので、この点も考慮されて罰則の適用の有無が定められているのではないかと私は考えています。