宅建業法21条(死亡等の届出)
【解説】
宅地建物取引業者のときに、「廃業等の届出」があったように、宅地建物取引士では「死亡等の届出」というのがあります。
宅地建物取引士が死亡等をすれば、宅地建物取引士の登録を消除しないといけませんが、これらの事実は登録している都道府県知事が必ずしも把握できるとは限りませんので、相続人や本人等に届出を義務付けているわけです。
上図が死亡等の届出が必要な場合ですが、左の「届出が必要な場合」を縦に見て下さい。
これは登録の基準で勉強したところと、「登録の消除」の部分を除いて、重なります。
また、ここでも「届出義務者」と「届出期間の起算日」は注意して下さい。まず、届出義務者の部分からですが、死亡のときは、本人が届け出ようがないので「相続人」です。これは分かる。
つぎに、本人が成年被後見人・被保佐人のときは、本人が能力を喪失しているので、それぞれ成年後見人・保佐人になります。
その他は、「本人」と覚えておけばいいわけですが、要注意は「破産」のとき。宅地建物取引業者が破産したときは、「破産管財人」が届け出ることになっていましたが、宅地建物取引士が破産したときは、「本人」が届け出ます。これは混乱しやすいので、気を付けて下さい。
次に、届出期間ですが、これは「30日」で宅地建物取引業者の場合と同様です。
また、届出期間の起算日ですが、これも死亡のときだけ、「知った日」から30日になりますが、それ以外は、それぞれの事由に「該当する日」から30日です。
あと若干補足をしておきますと、宅地建物取引業者の免許取消も届出の対象となっていますが、これは宅地建物取引士が同時に宅地建物取引業者でもある場合、宅地建物取引業の免許を不正に取得したことを理由に免許を取り消された場合は、当該宅地建物取引士は、その旨を届け出なければならないという意味です。
また、「破産」というのは、死亡等の届出の対象となっていますので、本人が破産した旨の届出をすれば、都道府県知事はその登録を消除する必要があります(22条2号)。
ただ、この場合は本人の届出に基づくものであるから、聴聞は不要です。
もし、宅地建物取引士がこの届出を怠っていたが、都道府県知事がその事実を知ったときは、破産というのは、登録消除事由ですから、知事は登録を消除しなければいけませんが、このときは聴聞の手続が必要となります。