※この記事は一般的な条文解説で、宅建等の資格試験の範囲を超えた内容も含みます。当サイトの記事が読みやすいと感じた方は、当サイトと資格試験向け教材の関係をご覧下さい。

宅建業法20条(変更の登録)

【解説】

1.変更の登録

宅地建物取引業者名簿の記載事項に変更があったときに、「変更の届出」が必要であったように、宅地建物取引士資格登録簿の記載事項に変更があったときは、「変更の登録」が必要になります。

ここのポイントは、「遅滞なく」です。宅地建物取引業者名簿のときは、「30日」以内でした。こういう違いは気を付けるようにして下さい。

後は、第18条の宅地建物取引士資格登録簿の記載事項をしっかり覚えて、どのような場合に変更の登録が必要かを確実に判断できるようになることです。

2.宅地建物取引業者名簿と宅地建物取引士資格登録簿(変更の届出との比較)

宅地建物取引業者名簿と宅地建物取引士資格登録簿について、それぞれ記載事項に変更があった場合の「変更の届出」と「変更の登録」は、試験などでそれぞれ単体で出題されることもありますが、両方同時に問われることが多い。

たとえば、「宅地建物取引業者の専任の宅地建物取引士が転居をして住居が変更になりました。このとき、宅地建物取引業者は宅地建物取引業者名簿の変更の届出を、宅地建物取引士は変更の登録をしなければいけない。」○か×か?

答えは「誤り」です。なぜか、宅地建物取引業者名簿は、専任の宅地建物取引士の「氏名」というのは、記載事項になっているが、専任の宅地建物取引士の「住所」というのは記載事項になっていないからです。

したがって、宅地建物取引業者は変更の届出をする必要はありません。なお、先ほどの問題の後半の宅地建物取引士の変更の登録が必要だという点は正しい。宅地建物取引士資格登録簿の記載事項に、宅地建物取引士の「住所」というのがありました。

さあ、そこでわれわれはこのような問題にどのように対処すべきか?

単純に答えると、「宅地建物取引業者名簿と宅地建物取引士資格登録簿の記載事項を正確に覚えて下さい。すると、必然的に答えは出ます。」ということでしょう。

しかし、こういう記載事項というのは、一番単調な勉強で頭に入りにくいので、何とか頭に入りやすい、消化しやすい状態にして整理しておきたいものです。そうすると、忘れにくくもあります。

そこで、上図を見て下さい。このあたりで混乱しやすい事項というのは決まっていますので、その混乱しやすい事項、つまり試験で出題されやすい事項をまとめたのが上図です。

甲社という宅地建物取引業者に、Aという専任の宅地建物取引士が勤務している場合の図表です。

これで、みなさんの負担がかなり減ると思います。この図もややこしそうですが、覚えることは一つです。

「宅地建物取引業者名簿」には、宅地建物取引業者に関する情報は詳しく載り、「宅地建物取引士資格登録簿」には、宅地建物取引士に関する情報が詳しく載る。これは、覚えるというほどのことはなく、当たり前のことです。それだけでこの表は覚えることができます。

まず、業者名簿のところを縦に見て下さい。業者名簿は、業者に関する情報が詳しく載るので、「商号・名称」のような最低限の情報だけでなく、「役員・政令で定める使用人の氏名」や「事務所の所在地」のような細かいことも載ります。それに対して、専任の宅地建物取引士に関する情報は「氏名」という最低限の情報しか載せません。「住所」などは入らないんですね。

次に、宅地建物取引士登録簿のところを縦に見て下さい。この宅地建物取引士登録簿には、宅地建物取引士(つまり自分のこと)の情報は詳しく載りますので、「氏名」という最低限の情報だけでなく、「住所」も載ります。これに対して、業者に関する情報は、詳しく載せませんので、「商号・名称」(宅地建物取引士でいうと「氏名」に該当します)という最低限の情報だけ載せ、その他の細かいことは登録されません。

上図で、業者名簿の甲社のブロック、宅地建物取引士登録簿のA専任宅地建物取引士のブロックが網かけになっていますが、これは詳しい情報を載せるブロックです。したがって、全部「○」になっているはずです。

それに対して、網かけのないブロックは、最低限の情報しか載せないブロックですので、一番上だけが「○」で、下は「×」になっていますね。

これでスッキリしたと思いますし、忘れにくくなると思います。