宅建業法6条(免許証の交付)
【解説】
1.免許証の交付
国土交通大臣又は都道府県知事は、宅地建物取引業の免許をしたときは、免許証を交付します。
ところで、この免許証は、本条では「免許をしたときは、免許証を交付しなければならない」と規定されています。
つまり、免許→免許証の交付という流れですね。
ところが、宅地建物取引業を営むには、他方、宅地建物取引業法25条で営業保証金の供託(又は弁済業務保証金の供託)が必要となっています。
宅地建物取引業法25条によると、免許→営業保証金の供託→供託した旨の届出、という流れになっているわけです。
それでは、免許証の交付と営業保証金の供託(及びその届出)との順序はどうなっているのでしょうか?
宅地建物取引業法の規定上は、「免許→免許証の交付→営業保証金を供託した旨の届出」とするのか、「免許→営業保証金を供託した旨の届出→免許証の交付」とするのか、一概にどちらともいえません。
これについては、宅地建物取引業法に関する通達などを整理した「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」に出てきます。
「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」の第6条関係2(1)(免許証の交付について)
「地方整備局長等が行う免許証の交付については、次により取り扱うものとする。 新規申請又は免許換え申請の場合の免許証の交付は、営業保証金を供託した旨の届出が当該申請者からあったとき、又は当該申請者に係る弁済業務保証金が供託された旨の報告が宅地建物取引業保証協会からあったときに行うこととする。」
つまり、免許→営業保証金(又は弁済業務保証金)の供託→供託した旨の届出→免許証の交付、という流れになります。
おそらくその理由は、免許を取得しても、営業保証金を供託した旨の届出がない限り、事業を開始できないわけですから、営業保証金を供託した旨の届出の際に免許証を交付する方がいいであろう、という配慮からだと思われます。
2.免許証に関する各種制度の比較
次に、免許証に関する制度が施行規則にいくつか規定されているので、ここではそのまとめの表を掲載しておきますが、各制度はページを改めて解説します。
3.免許証の書換え交付(施行規則)
この「免許証の記載事項に変更を生じたとき」は、書換え交付を申請しなければいけません。
この「書換え交付」というのは、宅地建物取引士証等でもできますが、「記載事項に変更」があった場合です。
そして、免許証の記載事項は、宅地建物取引業者名簿の記載事項と重なりますので、宅地建物取引業者名簿の変更の届出と併せて申請することになります。
ということは、宅地建物取引業者名簿の変更の届出と同様、「変更から30日以内」に申請しなければならないことになります(第9条参照)。
また、第1項の最後に「申請しなければならない」という文言から分かりますように、書換え交付の申請は「必要的」だということになります。
4.免許証の再交付(施行規則)
宅地建物取引業者は、免許を取得し、免許証の交付を受けた後、「免許証を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損」したときは、免許証の再交付を申請しなければいけません。これも必要的です。
ただ、特に期間に具体的な制限はなく、「遅滞なく」という表現になっています。
この「再交付」という言葉も、宅地建物取引士証等で出てきますが、「亡失、滅失、汚損、破損」の場合に使われる言葉です。
そして、「汚損、破損」の場合は、汚損・破損したとはいえ、元の免許証が手元に残っているわけですから、「その汚損し、又は破損した免許証を添えて」再交付を申請することになります(施行規則4条の3第2項)
5.免許証の返納
免許証が効力を失ったときは、基本的に免許証を返納しなければいけません。
免許証が効力を失って返納しなければならないのは、以下の場合です。
① 免許換えにより従前の免許がその効力を失ったとき。
② 免許を取り消されたとき。
③ 亡失した免許証を発見したとき。
④ 廃業等の届出をする場合
ここで気を付けなければならないのは、免許の有効期間が満了した場合には、免許証は返納する必要はないという点です。上記の①~④に免許の有効期間の満了というのが入っていません。